「登山用インナー」にヒートテックはなぜNGなの? 登山に適したインナーも紹介
肌に直接触れるインナーは、体温調節や汗の処理に重要な役割を果たします。ユニクロの高機能な防寒インナー「ヒートテック」は、手軽で暖かいイメージがありますが、登山のような特殊な環境では適さない場合があります。 【画像】登山用インナーにおすすめのモンベルのアイテム 本記事では、ヒートテックが登山に不向きとされる理由を掘り下げるとともに、おすすめの「登山用インナー」を紹介します。
ヒートテックは登山に不向き?
気温が低い山では、発熱性や保温性に優れたヒートテックが適していると考えがちです。しかし、実際には山でヒートテックを着用するのは基本的に避けた方がよいとされています。 その理由は、ヒートテックの特徴的な素材や構造が、登山の環境に適応しきれない点にあります。
不快感や体調の乱れにつながることも
ヒートテックは、汗を吸収して発熱する機能を備えています。この仕組みは、日常生活での保温には効果的ですが、登山のように体を動かし続けるシーンでは、問題を引き起こす場合があります。 登山中は運動量が多く汗をかくため、服の中が必要以上に熱を持ち、いわゆる「オーバーヒート」の状態に陥る可能性も。体が過剰に温まり、不快感や体調の乱れにつながることがあるのです。 また、ヒートテックにはレーヨンという素材が含まれています。レーヨンは吸湿性に優れており、汗をしっかりと吸収する反面、放湿性が低い性質を持っています。 一度ぬれてしまうと乾くのに時間がかかるため、登山中のように汗をかき続ける場面では、インナーがぬれたままの状態が長く続きやすいのです。
汗冷えのリスクとその危険性
ヒートテックをぬれた状態で着続けることは、寒冷地での登山では特に危険です。インナーが湿ったまま外気にさらされると、汗が冷えることで体温が急激に奪われる可能性があります。 この現象は「汗冷え」と呼ばれ、寒さを増幅させる原因となります。結果として、登山中の快適さを損なうだけでなく、最悪の場合には低体温症を引き起こすリスクも。低体温症は命に関わる事態を招くため、インナー選びは慎重に行う必要があります。