子どもも使える3Dプリンター 長野県伊那市のスワニーが海外メーカーと共同開発
製品設計のスワニー(長野県伊那市)は、子どもでも使える3Dプリンター「Kidoodle(キッドゥードゥル)」を海外メーカーと共同開発した。家電のような操作性が特徴で、ゲーム感覚で3Dプリントを楽しめる。欧米などに比べて活用が進んでいないといわれる3Dプリンターの普及や市場の活性化につなげるとともに、子どもの頃から先端技術に慣れ親しむことで将来のものづくり人材の育成にもつなげたい考えだ。 Kidoodleは、幅、奥行き各31センチ、高さ35センチ。工場にある機械のような無骨なフォルムではなく、親しみやすいデザイン。溶かした樹脂を積み上げる熱溶解積層(FDM)方式で幅、奥行き各10センチ、高さ9センチまでの立体造形物を作ることができる。 操作は本体上部のモニターをタッチするだけ。パソコンやスマートフォンは必要なく、無料で提供される動物や乗り物のおもちゃなどの3Dデータを使ってプリントできる。3Dデータは約2000種類まで増やす計画だ。 子どもが安全に使えるよう扉を開けると自動停止する仕組み。造形用の樹脂(フィラメント)には植物由来のバイオマスプラスチックを採り入れ、環境にも配慮した。 同社によると、日本の3Dプリンターの普及率は低く、「欧米より5~10年遅れている」。2010年ごろに基本特許が切れて安価な3Dプリンターが登場したが、操作が難しかったり、専用の材料が高価だったりして、普及につながらなかったという。 Kidoodleはそうした課題を解決するべく開発された。子どもはもちろん、これまで3Dプリンターの導入に二の足を踏んでいた製造現場への普及促進に向け、底辺拡大を図る狙いもある。 橋爪良博社長は「子どもの創造力を刺激する新しい3Dプリンター。『1人でできた』という小さな成功体験を積み重ねることができる」と強調。「子どもの頃から先端技術に触れることで次世代のエンジニアを育てる」と期待する。今後、学校や教育機関との連携も模索していく。 本体価格5万8700円、専用フィラメントは250グラム8本セットで7800円(いずれも税込み)。10月発売予定で、クラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」で販売予約の受け付けを始めている。