“闘うバービー人形”ChiChiは、バービーになりたくてプロレスラーになった!
【WEEKEND女子プロレス#33】
全日本の諏訪魔とフリーの石川修司、2人のスーパーヘビー級男子レスラーの指導によりデビューしたのが、ZONES(ゾネス)とChiChi(チーチー)だ。Evolution(エボリューション=エボ女)の旗揚げとともにプロレス界に現れた両者は、まだキャリア1年半にすぎない。それでも、男子プロレスのエッセンスで他団体との差別化を図り、キャラクター性もバツグン。そのユニークな存在感は、ホームリング以上に他団体でも爪跡を残しまくっていると言っていいだろう。 【写真ギャラリー】“闘うバービー人形”ChiChi(写真:新井宏) 本連載「WEEKEND女子プロレス♯28」のZONESにつづき、今回は“闘うバービー人形”ChiChiを紹介しよう。 WWEを通じプロレスを知ったというChiChi。両親がファンで、テレビでよく一緒に見ていたという。最初にあこがれたのが、トリッシュ・ストラタス。その原体験が、現在の彼女にもしっかり受け継がれているのだから興味深い。 「金髪でかわいいトリッシュが大好きで、よくマネしていましたね。当時からテンガロンハットを被っていました。いまでも被っているのは、トリッシュの影響です。あと、ビッグショーって大きいなとか、ハリケーンって入場カッコいいけど弱いなとか(笑)。また、ストーンコールドがビール飲んでるなっていう記憶があります。WWEでプロレスというものを知って、男女関係なく見ていましたね」 そんな彼女は、3歳の頃からクラシックバレエを習っていた。学生時代もずっと続けており、現在はセミリタイア中ながら、やろうと思えばバレエの動きがすぐにできるそうだ。まずは音楽に合わせてクルクル回る動きが楽しくて、バレエにハマった。また、発表会に向けてみんなで舞台を作り上げていく作業に夢中になった。頑張れば頑張った分、成果が出ることもモチベーションになっていた。 「努力しだいで男性のプロの先生とデュエットできるんですよ。実際にそれを何度かさせていただいて、すごくいい経験になりました。小さな世界ではありましたけど、発表会でほかの子よりも多く踊らせていただいたり、準主役をはじめ、いろんな役をいただきました」 バレエとともに成長していった彼女。大きくなるにつれてさぞかしギャルっぽいバレリーナに変貌していくのと思いきや、決してそうではなかったらしい。 「いや、そんなことはなかったですよ(笑)。金髪にしたのも、プロレスを始めるちょっと前くらいからですから」 ではなぜ、彼女はプロレスラーになると決めたのか。 「ふつうに社会人をやっていたなかで、人づてにいまの団体の親会社の社長に出会って、スカウトされたんです。『女子プロレスやろうよ』みたいな感じで声をかけられて、最初は断っていたんですけど、『師匠になる予定の人の試合を見にいこう』と誘われて、22年6月の全日本プロレスの大田区大会に行ったんですね」 バレエ中心の生活で、プロレスからは自然と遠ざかっていた。いつの間にかWWEを見る機会も減っていた。プロレスを忘れていた状況でプロレスに誘われ、たまには見てみるのもいいかと考えた。すると…。 「久しぶりに見て、プロレスおもしろいと思ったんですね。それに、これが(自分で)できたらもっとおもしろいなって。もともと私って、定時で働くような仕事には向いてないんですよ。逆に、将来が見えない感じがいいなって(笑)。チャレンジしたい好奇心の方がまさってしまいました。無理だったらやめればいいくらいの気持ちで、練習生になったんです。そしたら、ちょっとずつですけど、練習するごとにできることが増えていって、それでデビューにたどり着いたって感じですね。せっかく新しい世界に飛び込んだのだから、ちょっとやってみようかと、だんだんとやる気になっていったんです」