【選択肢上位の実力】シトロエンC5 エアクロス・ハイブリッドへ試乗 PHEV版登場
フラッグシップのSUVにPHEVを追加
text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) シトロエンのラインナップで、最も大きく最も高価なモデルは、過去40年ほどは好感が持てるビジネス・サルーンだという伝統があった。台数はあまり売れず、減価償却が早いという特長もあったが。 【写真】C5 エアクロス 競合PHEV SUV (91枚) 2019年、シトロエンはフラッグシップとしてSUVのC5 エアクロスを投入。ブランドに新潮流を与えた。2020年には、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)を追加。高効率が求められるSUV競争の最前線に、C5 エアクロスを並べることになった。 英国へ導入されるトリムグレードは2つ。手頃なフレアは、3万5370ポンド(473万円)から。18インチのアルミホイールにエアコン、ナビなどが付く。 しかしお買い得なのは、フレア・プラスの方。1500ポンド(20万円)の上乗せで、19インチ・ホイールにハーフレザーの内装、電動シート、ハンズフリー・テールゲート開閉機能などが付く。 運転支援システムも充実。レーダー式クルーズコントロールや車線維持支援システム、ブラインドスポット・モニターのほか、パーキングセンサーやバックカメラなども備わる。 PHEVのエンジンは、グループPSAの1.6L 4気筒ガソリンターボ。ピュアテック180と呼ばれるもので、最高出力は180psを発揮する。そこへ8速ATと一体となった、108psの電気モーターを結合。システム総合で225psと50.9kg-mを生み出す。 強力なモーターのおかげで、最大トルクはほとんど発進と同時に得られる。そのため、効果的なトラクション・コントロールが常に監視している。
ハンサムなデザインに座り心地の良いシート
見た目はハンサムだと思う。ボンネットと一体となったシトロエンのシェブロン・マークや、ハイテクに見えるライト、ドア横のエアバッグの入ったプロテクトモールなど、多くの人が好意的に見てくれそうなディティールが映える。 デザインは、シトロエンのモデルラインナップに、良い統一感も生んでいる。DSやオペルブランドの兄弟モデルより、好印象。雰囲気は異なるが、デザインの質ではプジョーに並ぶだろう。 インテリアのデザインも同様。試乗車のフレア・プラスでは、シンプルで上品な素材感のダッシュボード上部に、大きなセンターモニターをレイアウト。ドライバー正面には、モニター式のメーターパネルが収まる。 シートは幅が広く快適。シトロエンが表現するようにフラットな形状で、サイドの立ち上がりは低い。腰回りのランバーサポートは適度で、クッションも肉厚。座り心地は良い。シートヒーターは備わっていなかった。 リアシート側の広さも、大人2名なら充分。ただし少し薄暗い印象がある。PHEV用バッテリーは、リアシートの下側に搭載されている。 EVモードでの航続距離は54km。今回は約5時間の試乗となったが、平均で48kmくらいは走れる様子。45kmを下回ることはなかった。バッテリーは7kWの家庭用充電器で、2時間20分で満充電にできた。 WLTP値でのカタログ燃費は、55.6km/Lから78.6km/Lの間。CO2の排出量は32g/kmに留まる。ただし、運転条件でだいぶ異なるだろう。