佐藤オオキが空間デザインに込めた、家づくりのための新提案とは?
これからの住まいづくりを住む人と一緒に考え、多角的に発信していく場所として積水ハウスが展開する〈SUMUFUMU TERRACE〉。従来の“住宅展示場”とはまったく違う、新しい家づくりのための場とは? 5つ目の拠点としてオープンした〈SUMUFUMU TERRACE 青山〉の施設デザインを手がけた、ネンドの佐藤オオキに話を聞いた。 これまでメーカーに家づくりを相談するときは、住宅展示場に出かけるというのが常識だったが、これからはまた新しい時代がやってくるようだ。積水ハウスの新拠点〈SUMUFUMU TERRACE 青山〉は、家づくりのノウハウのみならず、暮らしのビジョンやインスピレーションを養い、理想の住まいにさらに近づけるためのエッセンスを詰め込んだ場所だといえる。 「これまではどのように家を建てるかというハード面にフォーカスしていたのに対し、どのように使って、住みこなすかというソフト面へとユーザーのニーズが拡張している。それならば従来のショールーム的な存在よりも、よりコミュニケーションに特化した空間が必要なのではないか。そんな視点から積水ハウスさんと意見を重ねていきました」 そう語るのは、〈SUMUFUMU TERRACE 青山〉の空間デザインを担当したネンドの佐藤オオキ。あらゆるコンテンツに柔軟に対応するために、空間も可変性のあるものでなければならないと考えた。
・プラスして満たしていく、可変性のある空間。
可変性のある空間といえば、壁が動く仕組みなどを考えがちだが、ここでの佐藤の発想は大きく異なる。 「固定の壁で仕切りつつも、すべてをガラス面にすることで、部屋の手前と向こう。つまりは空間の内と外の関係をあいまいにしつつ、すべてのサッシの枠に棚やフックなどを設置できるような仕掛けをつくりました。つまりこの場所は、何かをプラスしていくことで、どんどん満たされていく。そんな自由で想像力溢れる感覚を、空間から感じとっていただきたいのです」 模型や素材サンプルを展示するスペースは最小にとどめ、カフェ、ギャラリー、ラウンジなどを充実させた〈SUMUFUMU TERRACE 青山〉は、ネンドの独自のデザインにより、来場者が伸びやかに過ごす開放的な空間に仕上がった。