素材、共同開発提案…東洋紡エムシーが海外完成車向け開拓
東洋紡エムシー(大阪市北区、森重地加男社長)は、自動車向け素材を扱うモビリティー事業で海外完成車メーカー向けの売上高比率を引き上げる。同事業の2023年度売上高約500億円の内、海外完成車メーカーなど向けは数%だが、30年度に約20%を目指す。24年度中には、米国の完成車メーカーを中心に企画構想段階から共同開発する提案を始める。 東洋紡エムシーは4月、完成車メーカーと次世代自動車の構想段階から一体で共同開発を進める組織「モビリティ事業推進ユニット」を立ち上げた。国内完成車メーカーの調達・設計・先行技術開発の各部門に対し、リサイクルや軽量化などをテーマに共同開発の提案を開始。24年度中には、海外へも同様の提案を始める。 海外完成車メーカーへの提案は、自動車業界などと素材メーカーをつなぐコンサルティング・エンジニアリング会社のビヨンドマテリアルズ(東京都千代田区)も活用する。同社は三菱商事と独FEVコンサルティングとの合弁会社で、出資会社であるFEVは欧州が主拠点。すでに主要完成車メーカーと接点を持っており、自動車の技術動向などの情報を活用する考え。 東洋紡エムシーは需要に合わせた材料設計が強みのエンジニアリングプラスチックのほか、ポリエーテルエステルエラストマー繊維を使った水平リサイクル実績がある3次元網状繊維構造体「ブレスエアー」などの要素技術を保有している。自動車の電動化による金属代替や軽量化向けの素材、リサイクル材の活用などで、同社の素材が伸びると想定している。 足元では自動車で使用する部材をリサイクルしやすい部材に変えたい動きに対応し、カーシート向けにリサイクル可能なブレスエアーを提案している。