【モーターでも】マツダMX-30 EVで体感 電動化時代の「人馬一体」
EVに人馬一体の楽しさがある?
text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ) editor:Taro Ueno(上野太朗) 【写真】「人馬一体」あなたはどっち派?【MX-30とCX-30を比較】 (220枚) MX-30の派生モデルとして2021年1月28日に発売開始となったマツダのMX-30のEVモデルの試乗会に参加した。 事前に不安に思っていたのは「EVになることで、マツダの魅力である『人馬一体の走り』すなわち『運転する楽しみ』がなくなってしまうのではなかろうか」ということだ。 そもそもMX-30は「わたしらしく生きる」をコンセプトとしており、EVバージョンはカーボンニュートラル実現のために追加された。つまり、環境対応を前面に謳うモデルだ。 EV化にあたりMX-30 EVは、最高出力156ps/最大トルク20.3kg-mの2Lガソリンエンジンの代わりに、最高出力145ps/最大トルク27.5kg-mのモーターと35.5kWhのリチウムイオン電池を搭載した。 電池容量が少なめということもあり、一充電走行距離は256km(WLTCモード)にとどまる。 車両重量はガソリンエンジンのグレードに対してEVモデルは190kgプラス。 エンジン車と比べると、最高出力と重量が悪くなり、最大トルクが2割7分ほど増えているというのが違いだ。
走らせるとパワートレインの音
「おそるおそる」といった体でMX-30 EVを走らせてみる。 すると驚いたのは、アクセルを踏み込むほどに、何かが回転するかのような音がすること。 マツダに聞けば、これは人工的に作ったパワートレインを模した音で、それを加速にあわせてスピーカーから出しているという。 音量はほんのわずかなもの。停まっていれば、シーンとしていて、車内の雰囲気はまさに静謐そのもの。 ところが動き出すと音が聞こえ、そして加速するほどに音程などがかわっていく。これが意外や良かったのだ。 そもそもEVは、エンジンが存在しないため静かな乗り物だ。 しかし、静かなだけ、それ以外のエアコンや補機類の音などが気になりがちだ。それが、人工のサウンドで気にならなくなる。 しかも、加速にあわせて音が変わるので、まるでエンジン車に乗っているかのような楽しさがあった。 また、マツダいわく「助手席などの同乗者も音があったほうが安心する」とか。「EVなんだから無音が良い」という常識をくつがえす、まさにコロンブスの卵のようなアイデアだ。 さらに「エンジン音を模したサウンドにすると嘘くさくなる。そのため、モーターとインバーターの音をベースにサウンドを作った」とも説明する。