再ロックダウンのパリ。テロの不安、そしてパリジェンヌの”癒し”と”心の拠り所”とは?
COVID-19第二波の襲来により10月30日から少なくとも12月1日まで、1カ月間の再ロックダウンの措置が取られたフランス。1度目のロックダウンからの教訓を得て、パリジェンヌはライフスタイルを見直し、営業停止を命じられた商店も生き残りをかけてさまざまな戦略を練っている。欧州全体でテロの脅威も迫り不安の渦巻くパリから、現地ファッションジャーナリストの井上エリがリポート。
「フランスが加速するパンデミックで水没しないよう、今容赦なくブレーキをかけなければならない」
2020年10月28日の国民向けテレビ演説でマクロン大統領は諭すように語りかけ、全国的に再ロックダウンの措置を導入すると発表しました。 フランス国民にとってこの発言は寝耳に水。なぜなら、第二波の予兆があった8月下旬から政府は「再ロックダウンはしない」と言い続けていたから。9月中旬から感染者数は増加傾向にあり、地域限定で飲食店の営業を禁じ、夜間外出制限を設けたものの結果が出ずさらなる制限を検討していましたが、政府が出した案の中に再ロックダウンは含まれていませんでした。
マクロン大統領は「このウイルスは最も悲観的な予測を上回るペースで蔓延している」とし、国内の病院の集中治療室のベッドの半数がCOVID-19患者で埋まっていると説明。「第一波よりも間違いなく深刻になるであろう第二波に打ちのめされる危険がある」と危機感を露わにし、「11月半ばにはフランスの集中治療室は限界を迎える。医師が治療すべき患者を選別することになる」とも指摘しました。2020年の経済成長率はマイナス10%の見通しで、政府も再ロックダウンの措置は禁じ手としていましたが、命を守るために苦渋の決断だったよう。2週間ごとに感染状況の評価により措置の見直しが行われ、マクロン大統領は「各家族がクリスマスに再会できるようになることを願っている」としました。
新たなロックダウン措置では前回と異なり、小学校から高校までの学校は閉鎖されない代わりに6歳以上の国民全員にマスク着用義務が設けられました。また、公園、広場、ビーチなどは閉鎖されず、急激な経済停滞を避けるべく工場の営業、文化的な職業の継続(演劇や舞台の稽古、工芸品の製作など)は認められています。レストランやホテルはデリバリーとテイクアウトの提供のみで営業が可能。