《おじさん構文よりも迷惑だ》電話と郵便が大好き…僕らの仕事を停滞させる”おじさんメール”の恐怖の世界
やがて「お世話になっております」がLINEやSlackの会話でも常識に? ビジネスメールの”ムダな挨拶問題”をマジメに考える から続く 【写真】この記事の写真を見る(2枚) プライベートとビジネスとを問わず、「読みやすいメール」が書けるというだけでスムーズな意思疎通が実現できる場面は多々存在する。裏を返せば、「読みづらいメール」であれば意思疎通に支障をきたすこともあるわけだ。 ライターの安田峰俊氏のもとにも、そうした「読みづらいメール」が届くことがあるという。ここでは、同氏の新著『 みんなのユニバーサル文章術 今すぐ役に立つ「最強」の日本語ライティングの世界 』(星海社)の一部を抜粋し、読みづらさが詰まった「おじさんメール」について紹介する。(全2回の2回目/ 前編 を読む) ◆◆◆
おじさんメールを排除する
ビジネスメールの定型化しすぎた表現からは人間味が感じられない。しかし、面識のない相手へのメールでは、冒頭に相手の名前を敬称つきで書く、挨拶から書きおこす、簡潔に用件を述べるといった、最低限の作法は踏まえていたほうが無難である。 ところが、おそらくゼロ年代前半のネット黎明期にメールの書きかた研修をサボったとみられるおじさんのなかには、作法にとらわれない天衣無縫すぎるメールを書く人がいる。 ある会員制雑誌の副編集長から私に原稿依頼が来たという設定で具体例を出してみよう。もちろん、次ページで紹介する文例はフィクションだが、私の経験上、全国紙の元記者やテレビ局の幹部などでも、似たようなメールを書くおじさんは何人も存在する。
「おじさんメール」の例
件名:中国のことや習近平のこと 安田峰俊君 私は雑誌の仕事をしています■■です。若いライターの意見をなにか聞いてみたいと考えましてメールを送りましたがこのアドレスでよかったですか。 私は大学2年生だった1984年にインドとネパールを1人旅した帰りに香港に立ち寄って、中国から移住した大学生に会ったことがあります。当時の中国はまだ貧しく現在のような発展は信じられないことでしたし、5年後に起きる天安門事件からして予想外の出来事でしたが、当時の自分と同年代の若者からは強いエネルギーやハングリーな夢のようなものを感じました。あの上昇志向が翌年の天安門広場につながったのかもしれません。中国にはほかに1998年に旅行して北京と万里の長城に行きました。 現在の習近平政権の強さというのはまったく予想外のことです。中国はアメリカに対抗して世界の覇権国を目指すという報道もありますが安田さんはどう思いますか(私は自分の経験上それはないようにも思うのですが)。うちの雑誌は月刊▲▲といって会員向けに発行して30年です。中国の習近平政権が何を考えているか、不動産バブルも報じられている中国の経済は崩壊しないか、香港デモやウイグルの問題はなぜ起きたか、中国の宇宙開発はどういう目的があるかなど、簡単な内容でいいので原稿いただけますか。顔を合わせて打ち合わせしたいので電話番号を教えて下さい。 ****** ▲▲社 月刊『▲▲』副編集長 ■■一郎