ジャパンCの3強に「弱点」あり。それぞれが抱える問題にズバリ迫る
「3強」の激突に沸くGIジャパンC(11月29日/東京・芝2400m)。むろん、多くのファンが楽しみにしているのは、その「3強」の熾烈な争いである。 【写真】ジャパンCに挑む「3強」で頂点に立つのは? しかしながら、それぞれに不安がないわけではない。見方によれば、他馬にも付け入る隙を与えそうな"死角"もある。ここでは、そんな「3強の弱点」に迫ってみたい。 まずは、GI天皇賞・秋(11月1日/東京・芝2000m)で史上初の芝GI8勝を挙げたアーモンドアイ(牝5歳)から。デイリー馬三郎の吉田順一記者は次のように指摘する。 「アーモンドアイの過去4回の敗戦を見てみると、新馬戦(2着。新潟・芝1400m)は『距離不足』、昨年のGI安田記念(3着。東京・芝1600m)は『スタート後の不利』と、ともに敗因が明らかな仕方のない敗戦でした。そして、今年の安田記念(2着。6月7日)もスタートの後手や道中の間隔が詰まったことで、本来の伸び脚が不発。敗因は明確でした。 ポイントとなるのは、残る1つの敗戦。昨年のGI有馬記念(9着。中山・芝2500m)の惨敗です。3歳時のGIIIシンザン記念(京都・芝1600m)でやや重馬場はこなしていますが、同じ荒れ馬場でも、有馬記念のようにスタミナが問われる馬場では脆さを露呈しました。 そこで、今秋の東京競馬場ですが、例年以上に荒れており、時計もかかり気味。多少タフな設定となる芝2400mで、アーモンドアイ自慢の末脚が持続するかどうかは微妙なところです。前走の天皇賞・秋でも、3馬身差をつけて圧勝した昨年ほど、楽なレースをさせてもらえませんでしたしね。 他、中3週のローテーションもポイントのひとつ。テンションを維持できるのかどうか。さらに、斤量差を踏まえても、勢いのある無敗の3歳馬2騎に太刀打ちできるのか、若干の疑問を感じざるを得ません」
続いて、史上初の父子二代による無敗の三冠達成を遂げたコントレイル(牡3歳)。フリーライターの土屋真光氏が同馬の懸念材料についてこんな見解を示す。 「同じコース、距離でありながら、その年のダービー馬は、ジャパンCでそれほど結果を残せていません。とりわけ、GI菊花賞(京都・芝3000m)を使った馬は、なおさらです。過去には、無敗の三冠馬となったシンボリルドルフでさえ、3着に敗れています。 2000年から菊花賞の開催日程が11月から10月に移動し、ローテーション的なゆとりが生まれたこともあってか、2001年にジャングルポケットがその年のダービー馬として、初めてジャパンCを制しましたが、同馬は菊花賞で4着と完敗。余力を残していました。 その後、ディープスカイ、レイデオロといったダービー馬がジャパンCで2着となっていますが、ともに菊花賞は未出走。実は、菊花賞とジャパンCを連勝した馬は皆無です。 となると、コントレイルにも懐疑的な目を向けざるを得ません。しかも、本来適さない長距離戦で、ゴール前までもつれた激戦を演じました。その消耗も簡単には戻らないのではないでしょうか」 最後に、史上初めて無敗の三冠牝馬となったデアリングタクト(牝3歳)について。スポーツ報知の坂本達洋記者は「3強」の中でも一枚落ちる存在と見てこう語る。 「デアリングタクトは、牝馬三冠レースで道悪や距離、小回りなど、あらゆる条件を克服。そこで、完勝してきた強さは光ります。ジャパンCにおいても、過去のデータが示すように、斤量53kgで出走できるのは有利でしょう。 しかし、個人的には今年の3歳牝馬は、世代レベルがそこまで高くないと見ています。先のGIエリザベス女王杯(11月15日/阪神・芝2200m)では、3歳勢のウインマリリンが4着に入りましたが、展開に恵まれた印象が拭えません。また、その翌週のGIマイルCS(11月22日/阪神・芝1600m)では、レシステンシアが8着と馬群に沈みました。 今年の3歳世代には、2年前のアーモンドアイとラッキーライラックのような、ハイレベルなライバル関係もなかったように思います。結局のところ、デアリングタクトは同世代の中では抜けているとはいえ、牡馬や強い古馬相手には及ばないと見ています」 はたして、「3強」対決の結末はいかに!?
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