農的な暮らし(1)「自給自足」の夢へ 古くて新しい「農」のプロジェクト
参加者を結びつける共通点は、皆がプロジェクトが目指す自給自足的な生き方に共感しているということだ。智子さんは、「類は友を呼ぶように、主宰メンバーの繋がりから、基本ご縁で集まったメンバーがほとんどです」と、ノラノコは意識的に組織した「会」ではないと言う。「プロジェクト」としているのは、そのためだ。だから、参加者のほとんどは、収穫したお米を得るという目的以上に、参加することそのものに意味があると、「体験を共有する喜び」を求めているのだと思う。そして、多くの人は「ノラノコ・プロジェクト」が秘める「新しさ」よりも、それが志向する昔ながらの「自然に寄り添った生き方」に夢を感じている。 それでも僕は、「ノラノコ・プロジェクト」は、やはり21世紀型の新しい「農」のスタイルでもある思う。インターネットが普及した今の世の中でなければ、地域コミュニティを飛び出して縁もゆかりもない土地の小さな田んぼに集まり、体験と収穫物を共有することは難しいと思う。それは、これまで全く米作りとも滋賀県とも縁のなかった僕自身が、一人東京弁を発しながらカメラ片手に初対面の人たちと見よう見まねで田植えと稲刈りをしたという、実体験が証明している。 次回はその体験を、このweb媒体を通じておすそ分けする予定だ。 ※この連載は3回続き。次回は来週日曜日に掲載します。