歩行中の交通事故 「7歳」が最も多い理由 対策は?…12月は事故件数が1年の中で最多
地域の見守り活動が小学生の交通事故を減らす可能性
また、最近では地域ぐるみで、登下校中の見守り(巡回指導)が増えています。これが子どもの安全確保に寄与する可能性があります。残念ながら日本ではその効果を直接検証したデータはありませんが、海外のレビュー論文では、道路横断監視員がいることが子ども自身の安全性の認識を高める可能性が示されています(7)。 登下校中の見守りは、子どもが犯罪に巻き込まれるリスクを下げる可能性もあります。その理由は、図に示されるように、こうした犯罪発生の特徴の一つが登下校時間帯の被害であるためです。実際に、こうした見守り活動が2003~2007年に増加した結果、犯罪率が低下したとの報告もあります(8)。 最近は子どもが被害者となる性犯罪への社会的な関心も高く、交通事故だけでなくこうした犯罪被害防止の観点からも、見守り活動の重要性は高まっていると言えますが、高齢化もあって見守り活動の数は2016年をピークに減少しており、活動の担い手不足も指摘されています(8)。こうした点や、人口減少が進む地方では学校の統廃合で近くに小学校がないケースも増えており、海外と同様にスクールバスの導入を検討する自治体も増えています。
まとめ
横断歩道における交通事故のリスクは小学校低学年に多いのですが、登下校における地域の見守り活動や、家族や学校での教育を通じてリスクを下げられる可能性があります。高齢社会で見守り活動の維持も課題となる中、子どもの安全を守る取り組みを社会全体で共有する必要があると考えています。 〈参考文献〉 (1)警察庁. 道路の交通に関する統計:年齢層別死傷者数の推移.2023 (2)内閣府. 子供(小学生)の交通事故の状況. 令和4年交通安全白書.2022 (3)交通事故総合分析センター イタルダ・インフォメーションNo.116 (4)American Academy of Pediatrics Safety for your child: 6 years 2013. (5)Schieber RA, Vegega ME. Inj Prev 2002;8 Suppl 1:i1-10. (6)Barton BK, Schwebel DC, et al.Journal of Pediatric Psychology 2006;32(4):475-80 (7)Amiour Y, Waygood EOD, et al.Int J Environ Res Public Health, 2022;19(5) (8)文部科学省 地域における通学路の安全確保の方策等についての調査研究.2021