歩行中の交通事故 「7歳」が最も多い理由 対策は?…12月は事故件数が1年の中で最多
子どもの発達段階から見る交通事故リスクの要因とは
子どもの事故リスクを発達段階からもう少し詳しく見てみましょう。一般的に子どもは4~6歳を過ぎると安全に関する意識や意思決定の能力が向上し、危険の理解が育ってくるとされています。ただ、まだその理解は不安定で、保護者の見守りやサポートが欠かせない時期です。一方で、6歳以上になると子どもはより自立するようになり、危険なこともできるようになります。この時期のこどもは自分がおとなになったことを証明したくなる年頃ですが、まだ音や距離、車の速度を判断するのが得意ではないとされています(4)。一方で、この年齢で小学校に入学するため、これまで保護者が付き添っていた移動を、子どもたちだけで行うようになります。その結果、交通事故が増えると考えられます。
横断歩道を安全に渡れる目安は10歳 その理由と背景
それでは、横断歩道を安全に渡れるようになる年齢はいくつなのでしょうか。 もちろん個人の発達段階によって大きく異なりますが、一般的にその境目は10歳と考えられています(5)。10歳では交通に関する知識や認知能力が育っており、道路の横断に関する経験が豊富になることから、おおむね安全に渡れると考えられています。逆に10歳未満の横断中には保護者の監督が望ましいということになります。
大人が守るべき横断歩道のルールが子どもに与える影響
そして、どのような対策が有効なのでしょうか。10歳になるまで待たないといけないのでしょうか。 実は5~8歳の子どもを対象とした研究で、この年齢層であっても適切な指導を行うことで安全に道路を横断できる方法を学び、実践できることが分かっています(6)。たとえば、子どもと一緒にいる時に信号が点滅したら、次の青信号まで待つことや、遠回りして横断歩道を渡るルールを日常的に実践することで、こうしたルールを親子で共有することができます。 この習慣が身に付けば、子どもは親がいない時にも同様のルールを守れるようになります。なお、親でなくても大人が子どもを間接的に教育する場があります。それは普段の歩道の横断行動です。子どもが横断歩道で待っているときに、大人が赤信号を無視してしまうと、それを見た子どもは、まねしても大丈夫だと学習してしまいます。その理由は、この時期の子どもは「自分も大人と同じことができることを証明したい」という年齢だからです。