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トゥンベリさんだけじゃない──発展途上国の若き活動家たちにも目を向けよ

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The Guardian

【執筆:Chika Unigwe】  リディマ・パンディさんは2017年、気候変動への対策を怠っているとしてとしてインド政府を提訴した時、わずか9歳だった。ケニアのカルキ・ポール・ムトゥクさんは、大学生の時のクラブ活動を通して環境保全活動に積極的に関わるようになり、2015年からは「気候変動に関するアフリカ・ユース・イニシアチブ」のメンバーになっている。  世界中の若者たちは何年もの間、地球が直面する危機に人々の目を向けさせ、その危機に対処するために活動してきた。しかし、メディアはただ一人の若き環境活動家にしか関心がないようだ。  注目を集めているあのグレタ・トゥンべリさんは、間違いなくスーパースターだ。だが、トゥンベリさんと同じように環境問題に熱心に取り組む若者たちは、他にも大勢いる。  10代のアディティヤ・ムカルジさんは2018年3月、プラスチック製ストローの根絶運動を開始した。わずか5か月で、インド・ニューデリーにあるレストランやホテルで、50万本以上のプラスチック製ストローが代用品に置き換えられるのに貢献した。  エクアドルのアマゾン流域で暮らす先住民の活動家、ニナ・グアリンガさんは昨年、世界自然保護基金(WWF)が環境保護活動に貢献した若者に与える栄誉ある賞を受賞した。グアリンガさんは8歳の頃から環境活動を続けている。  他にも大勢いるが、その名前を耳にすることは、皆無とは言わないまでもほとんどない。しかも、腹立たしいのは、こうした若者たちがトゥンベリさんよりもずっと以前から公に活動を行っていたとしても、メディアからそれぞれの国の「グレタ・トゥンベリ」と例えられたり、トゥンベリさんの足跡をたどっていると報じられたりしていることだ。彼ら自身のアイデンティティーや功績は、よその世界の発展を認識することなどほとんどない欧米のメディアによって、ほぼ完全に消し去られている。  トゥンベリさんを呼び掛ける人、他の人々を単にその呼び掛けに耳を傾ける人として扱うメディアの傾向には問題がある。とりわけ有色人種の活動家にとっては、メディアで取り上げられないために、大いに恩恵を受けられたかもしれない組織に気付いてもらえない、という事態になりかねない。この「白人の救世主」という物語は、地域社会のために活動している現地の人々の影響力を無効化し、自分たちだけでは何もできない「力のない原住民」という固定観念を永続化させてしまう。私はアフリカ人として、私はこのような描写を非常に不快に思う。気候変動によって最も脅かされている地域の人々を「トゥンベリ効果」で勢いづいただけの受け身の傍観者として描くのは、侮辱的だ。  植樹する。ごみを集める。環境のためにストをする。非常に現実的で急を要する問題への注目を促す若い人たちすべてに、私は畏敬の念を抱く。気候変動に立ち向かうため、規模の大小に関係なく自分たちにできることを実行している若者すべてに拍手を送る。また、不要なプラスチックや金属を使っておもちゃを作っているケニアやナイジェリア、その他の発展途上国の子どもたちにも感謝しなければならない。彼らはおそらく、自分たちが「気候の擁護者」と呼ばれるべきであることも知らないだろう。  2002年に世界で初めてレジ袋を禁止したバングラデシュと、2008年に非生物分解性プラスチックを禁止したルワンダにも拍手を送る。1日ずつの前進ではあるが、私たち全員の努力が地球を救うことになるかもしれない。  そして、私たちが目標に向かって取り組みを続ける一方で、欧米メディアが取るべき道徳的な行動は、目標実現のために貢献している有色人種の救世主にも焦点を当てることだ。未来の世代がこの話をするとき、たった一つの物語だけが語られることのないように。 チカ・ウニグエは、ナイジェリア人作家。近著に「Better Never Than Late」がある。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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