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新型コロナウイルスで苦境に立つエンタメ業界。ゲーセンミカドやアキハバラ@BEEPなど苦悩する5つの現場の声を聞く

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文・取材:メスカブト森田 新型コロナの影響にさらされるエンタメの最前線  2020年4月現在、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっている。 【この記事の画像をもっと見る】  2020年初頭から本格的な感染拡大を見せたこのウイルスは日本にも広がり、直接的な感染被害だけでなく、甚大な経済的被害をももたらした。  流通の麻痺、感染を恐れた顧客の自宅待機、補償なき自粛・休業要請などにより、多くの業種が経済的損失を被っている。それはエンターテインメント業界でも例外ではなく、新商品の発売延期、イベントやコンサートの中止といった暗いニュースを見ない日はないほどだ。当然、街中にあるエンタメを扱う店や施設にも大きな影響が出ており、やむなく休業や閉店に踏み切った店舗も少なくない。  本記事では、そんなコロナ禍のまっただなかにある店舗や施設を取材して得られた、現場の声をお届けしていく。我々がふだん慣れ親しんでいる場所がいまどのような状況にあるのか、ぜひ知っていただきたい。  なお、本記事の取材は2020年4月3~10日のあいだに行っている。新型コロナウイルスをめぐる情勢はめまぐるしく変化しており、それは取材先の置かれた状況も同様だ。掲載している現場の声は、あくまでも先述の期間のものとして認識してもらえると幸いだ。 ゲームセンター ゲーセンミカド 住所:高田馬場店・東京都新宿区高田馬場4-5-10オアシスプラザビル1F&2F/池袋店・東京都豊島区東池袋1-42-19 ホームページ Twitterアカウント:@babamikado  ゲーセンミカドは、多くのお客が集い賑わうアーケードゲーマーの聖地のような場所だ。このゲームファンの憩いの場も例に漏れず新型コロナウイルスの影響を受けており、先日、資金調達のためのクラウドファンディングの発表が行われた。このあたりも含めて、店長であるイケダミノロックこと池田稔氏(文中は池田)にミカドの現状を聞いてみた。なお、この取材の直前に緊急事態宣言が発令され、ゲームセンターは休業要請の対象となっている。 最後まで足掻いて足掻いて足掻き続ける ――ミカドさんでもイベントの中止や延期を発表されていますが、新型コロナウイルスの影響を感じ始めたのはいつごろからでしょうか? 池田 政府が2月末ごろから自粛なども含めて本格的に危険性を訴え始めたと思うんですけど、ミカドは意外と3月中はあまり売り上げに変動がなかったんです。一般的なゲームセンターってプライズ機やメダル機などをメインに置いたファミリー層も意識した店舗が多いと思いますが、うちの場合はビデオゲーム中心で、海外のお客さんを相手にしているわけでもないので、3月中はそんなに変わらないなという印象でしたね。しかし、3月25日に都知事から緊急事態宣言発令の可能性もあるという話が出て以降、ガクっと売り上げが落ちました。具体的には高田馬場店が6割減、池袋店が3割減という状態です。 ――そんなに売り上げが落ちているとなると経営のほうは大丈夫なのでしょうか? 池田 相当きびしいですね。僕たちはコインオペレーションということで薄利多売なうえに、お客さんに入れてもらったお金から税金を払う内税形式なので、そもそもバカみたいに儲かるという商売ではないんです。それに店員の人件費や建物の賃料といった固定費がどうしてもあって、そこは売り上げに関係なく毎月発生するので、なかなかキツいなと。加えて、ミカドは高田馬場と池袋以外に、広島と南大阪にコラボレーション店舗(広島県・アミパラ広島店、大阪府・星狩物語)というものもあるんですけど、そういった新規事業展開に投資していたんですよね。それが今回のウイルス騒ぎで、これ以上コストをかけると母体の人件費や賃料が払えないという状況になってしまったんで……まあ、運営はそうとうきびしいです。 ――そういった状況だからクラウドファンディングに踏み切ったわけですね。 池田 そうです。これって世界的な災害だし、言ってしまえば戦時中のような状況なわけじゃないですか。騒ぎが来月に終わるのか、3年先まで続くのかといったことは誰にも予測がつかないので、ここはなりふり構っていられないなと。個人的には他人のお金を当てにしたくはないんですけど、ここまでやってきた実績とファンからの声もあるので、最後まで足掻いて何とかお店を守りたいと思い、クラウドファンディングに着手しようという流れになりました。もちろん、種銭が多いに越したことはないので、国から出る手当や助成金なども利用していくつもりです。 ――まだ緊急事態宣言を見られていないのですが、補償の確約はされたのでしょうか? 池田 されていないですね。補償が難しいらしくて、約束されていないです。 ――自粛や休業も補償がない状態だとキツイですよね。 池田 そうなんですよ。自粛するにしても、まず生きていくためのお金を確保しなければならなくて、そのために僕らはできる限りの策を練っている状況です。具体的にはミカドグッズを通信販売したり、YouTubeの配信を行って広告費やスーパーチャットで収入を得たりですね。そういった副収入を伸ばしていければと思っています。 ――お客さんたちには未来に投資していただく感じですね。 池田 そうですね。もちろん、まずはお客さんの健康と人生が第一なので無理はいけないですけど、少しあてにさせてもらっているというのは事実です。 ――いまの状況に常連さんはどういった反応をされていますか? 池田 今回の騒ぎは誰のせいでもないので、ミカドのことが好きな常連さんもミカドが休業したり、立ちいかなくなったりしても「いたしかたないよね」という反応ですね。でもそれはそれとして、グッズの通販やクラウドファンディングといった行動に対してはすごく好意的に捉えてもらっています。「お金、お金」というのも嫌だなとは思うんですけど、こういうときこそ助け合ってというか、僕は助けてもらう立場なので大きな声では言えないですけど、助けていただけたらありがたいと思います。 ――どこも悲鳴を上げている状況ですからね。 池田 いちばん怖いのはコロナがいつ終息するのかが誰にもわからないというところで、お金を借りるとなったときも「いくら借りればいいの? 何ヵ月分借りるの?」となってしまう。そこで、博打になるんですけど、僕たちは決め打ちで半年間生きよう、半年間どうするか考えようと。期間を決めれば、人件費や賃料も計算できますし、いくら借りればいいかがわかってきます。そうやってひとつずつ具体的に数字を出さないと何もできませんからね。そして「じゃあ、半年後どうなってるの?」となったら、「半年後に考えよう」みたいな(笑)。 ――(笑)。緊急事態宣言が発令されましたが、ミカドさんは今後どのように営業されていきますか? 池田 僕らとしては政府が要請する2020年5月6日まで休業するつもりです。その後がどうなっているかわかりませんけど、営業を再開できたら5月7日から31日までイベントを詰め込んだりして、休んだ分、V字回復していけるような流れを作っていきたいなと思っています。休業中の動画配信のほうも足枷が何もない状況なので、本当に朝から晩までやって、楽しいと思ったら投げ銭していただければいいなと。クラウドファンディングも、リターンは僕らの体力でできる限りの内容になりますけど、ゲームセンターが生き残っていてほしいと思う人たちに投げかけて、やっていこうと思っています。 ――クラウドファンディングの成功を願っています。ほかに何かおっしゃりたいことはありますか? 池田 個人的なことを言ってしまえば、いまはふるいにかけられている状況で、この困難を乗り越えられない企業は、申し訳ないけどなくなっちゃうのかなという気がしています。僕は最後まで足掻いて足掻いて生き残って、またつぎの困難が来るかもしれないですけど、いま辛かった経験が次回に活きればいいかなと。まあ、日本は戦争や多くの震災を耐えてここまで来ましたからね。夢物語かもしれませんが、絶対に大丈夫だと信じてやるしかないですね。いまは自粛、自粛で息が詰まっていて、生活もたいへんですけど、僕らはそこに潤いを与える仕事をしています。人って娯楽がないと生きていけないですし、娯楽は絶対になくならないと思うので、その日が来るまで信じてがんばりましょう! -  池田氏の言葉通り、ミカドは2020年4月8日から5月6日までの期間、お客を“出禁”にするという形で休業を発表した。そして、クラウドファンディングも実施されたが、なんと開始から1日も経たずに目標額を達成するという快挙を成し遂げている。ミカドを支えたいと思うファンの想いの強さを実感させられるニュースだ。クラウドファンディング内で新たなプロジェクトを発表するなど、“攻め”の姿勢を見せ続けるミカド。このゲーマーの聖地を応援したいという方は、ぜひホームページをチェックしてみてほしい。  また、ゲームセンターファンのききょう氏や作家の赤野工作氏がゲームセンター、ゲームカフェ、ゲームショップの支援方法をまとめて、公開している。ゲーム文化を後世に残すためにも、ぜひ支援をお願いしたい。 ゲーセン支援チャリティキーホルダーが近日販売。新型コロナウイルスの影響に対する継続支援として https://www.famitsu.com/news/202004/14196667.html ゲームショップ アキハバラ@BEEP 住所:東京都千代田区外神田3-9-8 中栄ビルB1F ホームページ Twitterアカウント:@BEEP_akihabara  アキハバラ@BEEPはレトロPC・ゲームをメインに、関連書籍やポスター、ホビー、オーディオなどなど、あらゆるものの買取・販売を行う、まさにマニアのためにあるようなショップだ。今回は、プロデューサーとしてレトロゲームタイトルの復刻やアレンジなども手掛けている丸山満氏(文中は丸山)に話を聞いた。なお、インタビューを実施した4月10日の時点で、アキハバラ@BEEPは臨時休業している。 日本のゲーム文化を守るために攻める ――BEEPさんは、新作のゲームがリリースされてそれを販売するといった形式のゲームショップではないですよね。 丸山 手広くやりすぎていて「コレです」とは明示できないんですが、基本的にはアーケード、レトロPC、レトロ家庭用ゲーム……それに付随した当時の雑誌、グッズ、CD、映像メディアを中心に販売しています。最近ではゲームの同人誌、復刻されたゲームに関連するものも取り扱っていますね。 ――ということは、いわゆる一般的なゲームショップとは商品の流通も違ってきますよね。そのあたりは新型コロナウイルスの影響を受けているのでしょうか? 丸山 たしかに流通は異なりますが、そこに新型コロナの影響はあまりないんですよ。やっぱり来客数への影響がいちばん大きいですね。 ――秋葉原だったら海外からのお客さんも多いでしょうからね。 丸山 そうなんですよ。どこもそうだとは思いますが、インバウンド系への影響は大きいです。ツアーを組んで弊社を訪れてくれる海外のお客さんもいて、いままでは日本人の根強いレトロゲームファンと海外のお客さんの割合は半々くらいでした。それが2月くらいから日本人の比率が上がっていって、臨時休業の直前だと海外のお客さんが1、2割程度になりましたね。 ――いまは緊急事態宣言の影響もあって秋葉原の人通りもかなり減っていますね。 丸山 秋葉原っていわゆるマニアの街で、そういったお客さんがターゲットですよね。秋葉原に来る楽しみというのはあると思っていて、ここに来ればあれもあるしこれもあるし、その中にはもちろんレトロゲームもある。こういう観光名所みたいな場所自体がなくなっちゃって、やっぱりさびしいですね。 ――新型コロナの影響で直接店に来られるお客が減っているとのことですが、出張買取などはどうなっていますか? 丸山 弊社の担当スタッフがマスクの装着や消毒などの対策をしたうえでやっているのですが、コロナ騒ぎ以降、出張買取の件数が減っているということはないですね。ちなみに、着払いで売りたいものを送っていただいて査定をする宅配買取の件数もとくに変わっていないです。 ――外に出なくてもいいとはいえ、担当者と直接やりとりする必要がある出張買取に影響が出ていないというのは意外です。 丸山 ありがたいことですね。また、新型コロナの影響で来客数が減った弊社としては、通販に比重を置いて、ご来店できない遠方の方でも購入できるようにという企画をまさに打っているところです。 ――買取への影響があまり出ておらず商品が確保できるからできることですね。 丸山 通販が製造とリンクしているお店は、工場の稼働停止なども頭が痛いところでしょうね。私たちもそういった商品はないわけではないですけど、なるべく日本の工場で作っているもの、あまり影響がない国で作っているものを探すといった工夫はしています。 ――いまBEEPさんは臨時休業されていますが、緊急事態宣言での休業要請の対象にゲームショップは入っていませんよね。 丸山 入っていないと認識しています。複合施設などの大きな場所のテナントに入っている店舗は別だと思いますが、たとえばCDショップなどに休業要請が入っているかというとそうでもないので、なかなか難しいところですね。政府の方針も正直、曖昧ですから。 ――休業要請はするけど、補償は確約しないとか。 丸山 そこもあるし、たとえば公共の交通機関を止めない、ロックダウンしないとか、どっちなんだという感じですから。だからこそ、皆さん判断が難しくて悩んでるんですけどね。なので、弊社は対策をしつつ4月16日から営業再開していくという感じです。もちろん、情勢によっては変わってくると思いますけどね。ただ、臨時休業中でも買取の受付や支払、通販商品の店頭での受け取りは業務としてやっていますよ。 ――この状況でBEEPさんの経営状態は大丈夫なのでしょうか? 丸山 それは……売り上げがダウンしていてキツいですね。でも、弊社はいろいろな部門があるので、一致団結して意地を持ってアキハバラ@BEEPをサポートしています。 ――多くの部門を抱える強み、専門的な商品を扱う強みというのがここにきて活きていますね。そのほかに皆さんに伝えたいことなどはありますか? 丸山 オタクではなくてもゲームが好きだという人は多いじゃないですか。僕はゲームは日本が世界に誇る文化のひとつだと自負していて、だからこそ外国の方がお店まで来てくれるんだと思っています。最近の作品があまりないのは申し訳ないですが、レトロ作品を中心に取り扱っておりますので、コロナ騒ぎが終息した際にはぜひ足を運んでください! -  アキハバラ@BEEPのレトロゲームへの情熱とこだわりはすさまじい。先述のようにレトロゲームの復刻やアレンジも行っており、いまではプレミアがついてしまっている『アンデッドライン』(MSX2)や『真・魔王ゴルベリアス』(MSX2)などのタイトルを、より多くのユーザーのもとへ届けるために現代に蘇らせている。そして、いまのような状況下でも「攻めの姿勢は変えない」というポリシーのもと復刻・アレンジ作業や通販を続け、レトロゲーム界隈を大きく盛り上げているのだ。興味のある方はぜひ通販を利用し、コロナ騒ぎが沈静化したあかつきには店頭にも足を運んでみてほしい。 『コットン リブート(仮題)』インタビュー。リブート&BEEP家庭用ゲーム参入の経緯、X68000版発売の理由など、驚きの連続を発案したキーマンたちに聞く https://www.famitsu.com/news/201905/19176194.html ゲームショップ Game Station 住所:東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ2階 ホームページはこちら Twitterアカウント:@GSOTAI  サブカルチャーの聖地・中野ブロードウェイに居を構えるGame Stationは、当初は日本のタイトルも扱っていたが、現在は海外タイトルとその関連グッズのみを扱うコアなゲーマー御用達のゲームショップだ。今回は、その店主であるTAI氏にメールにて店の現状を聞いてみた。 コロナ終息までひたすら耐えるのみ ――Game Stationさんが新型コロナウイルスの影響を感じ始めたのはいつごろからでしょうか? TAI 2月下旬、全国休校と2大テーマパーク休園があったころからです。やはりそのふたつのニュースが出てから一気にお客さんの数が減りました。そして3月半ば以降、アメリカのほうも新型コロナウイルス感染者数がもっと増えて、さらに影響が大きくなりました。お店のゲーム雑貨も9割アメリカから輸入していますので、アメリカの問屋さんたちが休業になったり、休業にならなくても新商品がまったくなかったりで、発注するかどうか悩む以前に物自体がそこまでないという状況でけっこうツラいです。 ――平常時と比べて現在の客足や売り上げはどう変化しているのでしょうか? TAI 店頭のほうは3月前半は平常時の半分ぐらい、3月下旬はほぼ来客ゼロという日も珍しくありませんでした。政府の自粛呼びかけに合わせて店頭休業して通販のみの営業をした日も多かったのですが、3月の通販売り上げ自体も平常時の3割くらいでした。 ――現在、ウイルスの終息が見えない状況ですが、経営状態はいかがでしょうか? また、これからどう経営を続けていくつもりなのでしょうか? TAI たぶんほかのお店もみんな同じですが、経営状況はかなりきびしいです。やはり輸入商品のお店ですので、日本と輸入先のアメリカ、両方の新型コロナウイルス終息を待つのみです。がんばって既存在庫を通販で処分して赤字を減らし、耐えながら待つのみです。 ――現在の状況に関して常連の方たちの反応はいかがでしょうか? TAI 昔からつねにブログとTwitterで経営状況とお店の裏話を発信していますので、今回もお店の状況を知った常連の方々に応援メッセージをいっぱい送っていただきました。もちろん、実際にお買い物をしてくれる方々もいますので、かなり助かっています。自粛期間に入ってからお店に来られなくなっても、わざわざ通販で注文してくれた常連の方も多かったです。応援メッセージの中でいちばん多いのは「コロナウイルスが終息したら買い物しに行きます!」というものですので、いまのコロナ禍を耐え切れたらきっと立て直せると信じています! -  現在、Game Stationは臨時休業中だが、通販での注文はホームページから通常通り受け付けている。希望すれば店頭での商品受け渡しにも応じてくれるので、気軽に利用してほしい。また、店主のTAI氏もTwitterでオススメのグッズなどの情報を発信しているので、ぜひチェックしてみてほしい。 トイショップ トイ&コミックのガリンペイロ 住所:東京都千代田区外神田6-10-12KENTビル1F ホームページはこちら Twitterアカウント:@garimpeiro_toys  トイ&コミックのガリンペイロはUSAトイやアメコミを中心に、アパレル、映画・ゲームグッズなどを幅広く扱うショップだ。店内には魅惑のアイテムが所狭しと置かれ、その手のモノが好きな人にとっては、まるで楽園のような光景が広がっている。今回は、スタッフの野村宜弘氏(文中は野村)にガリンペイロの現状を語ってもらった。 ファンのためにもしぶとく踏ん張る ――緊急事態宣言の影響で秋葉原の街が閑散としていますね。駅からここに来るまでに、休業や閉店の張り紙のある店舗を多く見かけました。 野村 ラジ館さん(秋葉原ラジオ会館)が休業を発表していますし、営業時間を短縮しているお店も多いです。先月から観光客の方たちがグングン減っていて、いつもと比べると人の気配がなくなっていますね。秋葉原は比較的最近まで人の流れがありましたけど、いまはちょっと……という感じです。 ――ガリンペイロさんではどのような影響が出ていますか? 野村 どこもいっしょだと思いますが、まず来客数が減っているのがいちばん大きいですね。そして、うちは海外からトイを仕入れているので、その流通でもかなり影響が出ています。工場が中国にあったりして、そちらで作っているトイの数が少なくなり、流通路も縮小され、うちみたいなところにはなかなか品物が回ってこないですね。それと、価格の高騰も徐々に出てきていて、お客さんに品物をご用意できない状況が併せてあるのがキツイところです。 ――ガリンペイロさんは通販もされていますが、そういう状況だとお店を閉めて通販のみに注力するというのも難しそうですね。 野村 本来であれば、お店も閉めなければと思うんですけど、うちも小さなお店で少しでも数字を出していかなければならないので……。あとは通販の発送や品物が店に届いたときの対応がありますので、誰かがいなきゃいけない。なので、いまは短い時間でも開けさせてもらっています。今後状況が変われば、そうも言っていられなくなるのかなと思っていますけどね。 ――新型コロナウイルスの騒ぎ以降、売り上げはどのように変化していますか? 野村 当初は10%、20%と徐々に落ちてきていたんですが、3月末から4月頭にかけては如実にガクッと落ちました。今後はどうなるのかと不安がありますね。 ――どこも急に売り上げが落ちていて苦労されていますね。緊急事態宣言が出されましたが、おもちゃ屋さんって休業要請の対象にはなっていないというか、すごく微妙な位置にありますよね。 野村 そうなんですよ。大きな商業施設のテナントに入っているところなんかはまとめて休業されたりしてますけど、小さい小売店に関してはちょっと言いかたが曖昧なので「自己判断してね」ということだと思っています。 ――まだ休業の補償もありませんからね。 野村 そこがキツイですね。ただでさえ客足が減っているのにという。 ――休業しながらクラウドファンディングで資金を集めているお店もありますが、すべてのお店で可能なことではありませんからね。休業する余裕がないところはどうしてもお店を開けざるを得ないですよね。 野村 私たちの懇意にさせてもらっているアメコミや映画などをテーマにした飲食店さんは一旦店を閉めるみたいですけど、ファンの方たちに支えられて助かっているようですね。 ――アメコミと言えば、マーベルやDCコミックス原作の映画も公開が延期されていますね。 野村 ファンの方たちは早く観たいと悲しんでいますが、状況が状況なのでしかたないですね。「そんなときは、おもちゃで憂さ晴らしだ!」という方もいらっしゃって、とてもありがたいです(笑)。 ――いまのお店の状況に対して常連のお客さんの反応はいかがですか? 野村 皆さん、「仕方ないけど、がんばってください」、「こういう店がなくなってしまうのはイヤなので応援します」とおっしゃって来店されたり、メールやTwitterで励ましの声をすごく多くいただけたりして、なんとか踏ん張って期待に応えられたらなと思っています。 ――ガリンペイロさんのようなお店がなくなるのは、アメコミファンとしては悲しいですからね。 野村 自分がお客さんの立場だったとしても非常に寂しいので、しぶとくいきたいですね(笑)。 ――ガリンペイロさんはこのまま営業は続けていかれるのでしょうか? 野村 いまのところは営業時間を短縮してやっていくつもりです。スタッフも交代制にしたりしてリスクを減らしながらという感じですね。うちから言えるのは、こんな時期にわざわざ足を運んでくださるお客さんもいますが、「皆さん、本当に身体に気をつけて」ということですね。そうすれば必然、終息も早まると思いますから。また買い物を楽しんでもらえる時間がくればいいなと思います。 -  文中にもある通り、トイ&コミックのガリンペイロでは通信販売も行っている。痺れるようなアメコミグッズを筆頭に、 “あの”ボブ・ロスのフィギュアやピザを収納できるパーカーなど、魅惑のアイテムが多く揃っているので、この機会に利用してみてほしい。 映画館 新文芸坐 住所:東京都豊島区東池袋1-43-5 マルハン池袋ビル3F ホームページ Twitterアカウント:@shin_bungeiza  新文芸坐は、最新の映画ではなく旧作を上映する名画座と呼ばれるタイプの映画館だ。名立たる傑作や知る人ぞ知る名作などを上映し、魅力的な特集を組んだり、ユニークなテーマに沿ったオールナイト上映を行ったりして多くの映画ファンの心をつかんでいる。今回は、新文芸坐のマネージャーであり、オールナイト上映などの前説でもおなじみの花俟良王氏(文中は花俟)に話を聞いた。 ※本取材は、緊急事態宣言の発令前に行った。 “映画の灯”を絶やさないために ――新文芸坐さんでは名物のオールナイト上映を中止にしたり、土日(2020年4月4、5日)の休業を発表したりと新型コロナウイルスの影響が多大に出ていますが、最初に影響を感じ始めたのはいつごろからでしょうか? 花俟 2月の中旬以降、梅宮辰夫さんの追悼特集を組んでいたあたりから次第にといった感じですね。うちはメインの客層がシニアで、当初はそういったシニアの方が「ヤバいぞ」と危機感を抱き始めて、マスコミが騒ぎ出したころからお客様がどんどん減っていきました。 ――高齢の方が罹患するととくに危ないと言われていますからね。新型コロナウイルスへの対策は何かされていますか? 花俟 とにかく安心して映画をご覧いただくためにやっているのが、どこもやっているかもしれませんが、従業員の体温測定とマスクの着用、設備の定期的な消毒清掃です。この前、初めて週末の自粛要請が出たあたりからは、必ずお客様に入場時に両手をアルコール消毒していただくようお願いをしています。 ――映画館は、いわゆる“密”な場所ですから不安を取り除くのは大事ですね。 花俟 確かに密な場所ですけど、映画館の換気機能ってとても優れているんですよ。 ――新文芸坐さんは名画座ですが、新作映画の公開延期などの影響はあるのでしょうか? 花俟 具体的に影響が出てくるのはこれからだと思います。新作の公開延期でいま何が起きているのかというと、シネコンさんで上映する作品がどんどんなくなっていっている。では、何をするのかというと旧作の上映です。本来であれば私たちが上映するような作品を、シネコンさんが上映しているわけですね。シネコンさんが上映しているあいだは、商売の順番でうちに配給会社が作品を回してくれない。すると、未来のうちのお客様が少なくなってしまう。こういった影響が後々出てくると思います。 ――いまの状況に対して常連のお客さんの反応はいかがでしょう。 花俟 ありがたいことに常連さんは足を運んでくださいますね。映画業界や新文芸坐が苦労しているということをわかって来てくださっていると思います。また、TwitterなどのSNSにも「なくならないで」という声が上がっていて、そういったお客様の反応はとてもありがたいし、励みになります。 ――平常時と比べていまの売り上げはどのように変化していますか? 花俟 徐々に減ってきていて、4月の頭の段階では通常の3分の1程度になっています。 ――その状態で経営は大丈夫なのでしょうか? 花俟 大丈夫ではないですし、今後どうなるかもわかりませんが、幸いにして新文芸坐は母体が大きな企業ということで、体力は比較的あると思います。ただ、やっぱり個人経営や小規模な映画館は本当にたいへんなことになっていますね。 ――一部のミニシアターでは、クラウドファンディングで資金を集めているような状況ですからね。 花俟 今日、まさに私も川越スカラ座さん(埼玉県・川越スカラ座)の賛助会員になってきたんですけど、そういう切羽詰まっている状況なんですよ。国がいろいろと指示を出して、補償もしてくれないといけないところにきています。いま補償対象で名指しされているのがライブハウスとかじゃないですか。映画館はちょっと曖昧になっているので、そこはどうなるんだろうという疑問や不安もありますね。 ――これからどのように営業されていくのでしょうか? 花俟 日々報道されていますけど、営業に関して皆さんが困っているのが、国からきちんと指示がされないことでして……。 ――あくまでも自粛要請ですからね。 花俟 ボンヤリとしたもので、補償もない……。どこもそうですが、企業・商売人としては営業していかなければいけないけど、いまの状況では負け戦をやっている状態なんですよね。それは大企業の大手シネコンさんも同じだと思います。 ――映画館の場合は、お客が入らなくてもけっこうな額の設備維持費などが発生しますしね。 花俟 そうなんですよ。さっき言ったように名画座の未来のお客様もいなくなってしまうかもしれないという状況では、本当に困り果てています。でも、格好つけるわけじゃないですけど“映画の灯”、“娯楽の灯”って消してはいけないと思うんですよ。なので、うすらボンヤリとした自粛要請だったら「営業やるよ!」と。 ――ファンとして、とても頼もしいです。 花俟 しかし、さきほど番組会議があったんですけど、先が読めないなかでの番組編成というのは本当にツラいものがあります。また、これは少しナイーブな話なのですが、シネコンさんの場合、“歩合興行”といって映画館と配給会社との収益割合が作品の上映後の興行収入から分配する形式なんです。一方、名画座の場合は“フラット興行”で、興行収入とは関係なく、あらかじめ配給会社に貸出料を払うという形式なんです。なので、うちの場合はお客様が入らなくても配給会社にお金を払わなければいけない。そこが非常に痛いところですね。もちろんマイナスを少なくする工夫はしますけど、フラット制の名画座はきびしいなと。 ――劇場を開けてもお客は来ない、でも映画の貸出料は通常通り払わないといけない……それはツラいですね。 花俟 いまはオールナイト上映を組んでも、中止せざるを得ない状況じゃないですか。お客様からも「やるのかどうか、はっきりしてくれ」と言われることがあって……。うちは営業するつもりはあるけど、急遽「自粛をお願いします」とボンヤリ要求が来る。じゃあ、会社としては「閉めます」と対応するしかない。でもそれは、あらかじめ言えないから急に発表せざるを得ないんですよね。ただ、オールナイト上映に関しては延期という形を考えています。また同じ番組を後日やろうと。先行きがわからないから、いつに延期すればいいのかというのは悩みどころですけどね。コンサートやイベントも同様で、エンターテインメント業界の皆さんが苦労している点だと思います。 ――コロナの終息が見えないうちは具体的にいつに延期とは言えませんからね。 花俟 でも、うちは劇場を開けている限りは映画を観られるようにしているので、ぜひぜひ……ここで「来てください!」と言えないのが、もどかしいところなんですけどね。“ポエム”と揶揄される文化庁のメッセージを見たときは崩れ落ちそうになりましたが、こういったときにこそ映画に限らず、音楽、演劇、絵画といったものが必要だと思うんですよ。とにかく映画の灯は絶やしたくないなと、場末の名画座としては思っています。 -  この取材の後に発令された緊急事態宣言を受けて、新文芸坐は臨時休業を発表した。「映画の灯を絶やしたくない」という想いを聞いた後では、苦渋の決断であったことは想像に難くない。営業再開時期は未定だが、いつかくるその日を万全の状態で迎えられるよう我々も備えていよう。  また、映画ナタリーが映画監督の入江悠氏のブログをベースに全国のミニシアターの支援方法をまとめた記事を作成、公開している。さらに、映画監督の深田晃司氏と濱口竜介氏が発起人となってミニシアターを守るためのクラウドファンディングも開始された。映画の灯を絶やさないためにも、読者の皆さんにも無理のない範囲での支援をお願いしたい。 我々の愛する場所を失わないために  新型コロナウイルス感染の危険があるなかではうかつに外出することもできず、人々がエンターテインメントに回す経済的、精神的余裕もなくなってきているのだろう。多くの店舗・施設は売り上げが落ち込み、窮地に立たされている。それでも本記事で紹介したように、意地と信念を持ってエンタメを提供し続けようとしている人々がいるというのは非常に心強いことだ。  一部の店舗では、クラウドファンディングなどを利用して経営維持を画策し、顧客側も積極的に支援を行っている。当然だが、誰もが自分たちのなじみの場所を失いたくはないのだ。ゲーセンミカドのように成功を収めている店舗があるのは朗報だが、すべての店舗でそれが可能とは限らない。また、終息の見えないコロナ禍のなかでは、いつまで耐えればいいのかわからないというのも大きな問題である。  店を開けてもお客が来ない、休業しようにも補償はなく、貯えも心もとない……もはや個人や各店舗・施設の努力だけではどうしようもないところにまできている。取材を行ったときとは情勢が少し変わり、現在、業績悪化に苦しむ中小企業支援として持続化給付金の支給が予定されている。持続化給付金には申請から支給までの期間が短いといった補償とは違ったメリットもあるものの、これだけではまだ十分とは言えないだろう。新型コロナ感染を防ぎ、各店舗・施設を存続させるためにも、やはり早急な休業補償が求められているのだ。  こんな状況下だからこそ、エンターテインメントは人々の心のよりどころとなるはずのものだ。しかし、心身ともに健康でないとエンタメを心から楽しめないということも身に染みてわかっている。  我々の大切な場所を守り、その灯を絶やさないためにも、政府による早急かつ十分な補償を願うばかりだ。また、記事内で紹介しているように、店舗は休業していても通販などで営業を続けている店もある。もしこの記事を読んで、脳裏に特定の店舗が浮かんだら、その店の通販などを通じて支援するといったことも考えてほしい。いずれコロナ騒ぎが収まり、いざ娯楽に興じようとした際、自分の慣れ親しんだ場所がなくなっていたのでは、すべてが手遅れなのだから。

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