バス運転手不足“20歳の救世主”デビューに密着 減便・廃止が各地で相次ぐ 広島
運転手の時間外労働を制限する“2024年問題”の影響などで、バスの減便や廃止が各地で相次いでいます。運転手の高齢化も問題となるなか、二十歳のバス運転手がデビューしました。 【画像】幼いころからバス運転手を目指す 実家には大量のバスグッズ 実際に使われていたつり革も
■一人前のバス運転手としてデビュー
出勤時間の1時間前、少し不安そうな表情を浮かべながら姿を見せたのは、地元の高校を卒業後、広島交通に入社した藤原茉央さん(20)。 藤原さんにとって、この日は“特別な日”です。 藤原さん 「幼いころから憧れていたことが、きょうできるので。楽しみもあるんですけど、不安と緊張もあります」 およそ4カ月にわたる教習を経て、一人前のバス運転手としてデビューする日。 上司 「大丈夫か?」 藤原さん 「ちょっと緊張しています」 緊張からか何度も汗を拭い、いざ運転席へ。 藤原さん 「(Q.落ち着かない?)そうですね。落ち着かないです」
■全国に先駆け若手運転手を養成
我々が藤原さんと出会ったのは今年4月。 藤原さん 「(Q.今のご年齢は?)19歳です」 バス運転手の平均年齢が53歳を超えるなか、藤原さんは10代でバス業界に飛び込みました。 バス業界は今、深刻な問題を抱えています。それが運転手の働き方改革で時間外労働の上限が年間960時間に規制される“2024年問題”です。 バス運転手は、全産業と比べ平均労働時間が1カ月あたり、およそ20時間長い一方、年収はおよそ1割低い453万円です。 広島交通運輸部 長戸忠則部長 「時間が長くて年収が低くてというのが妙に取り出されているんですけど。バスの運転手もやりがいがあるぞと、そういうものが伝わればいいなと。本当に若返りを図らないと大変なことになる」 人手不足を危惧した広島交通は全国に先駆け、2019年から「高卒採用」を取り入れ、若手運転手を養成しています。 その後、おととしの法改正で、バスの運転に必要な「大型二種免許」の取得条件が19歳に引き下げられました。 先輩運転手 「(免許試験は)全部一発?」 藤原さん(当時19歳) 「いや、筆記だけは二発。最初1点足りなくて」 交付されたばかりの藤原さんの大型二種免許証には「平成16年生まれ」と刻まれています。 先輩運転手 「(入社から)1年間は免許を取れないので、その間は事務職で」 藤原さん(当時19歳) 「そうですね。長い期間」