《タワマンvs.地元住民》「神様のいる土地を汚さないで」…松江市のタワマン計画に温厚な住民が「ブチギレ」
地元メディアは「沈黙」
建設に至る経緯は以下の通りだ。数年前に土地を入手した京阪電鉄不動産は、昨年8月に19階建ての高層マンションを造る計画を松江市に申請。昨年10月20日に景観審議会が開かれ、「基準を満たす」との判断がくだったのだ。 しかしその後、景観審議会の委員12人のうちの9人が「審議は十分だとは言いがたい。まだ審議を重ねる必要がある」として、今年2月20日、上定昭仁市長に再審を求めたところ、市長はこれを拒否したのである。 松江市まちづくり部建築審査課の担当者に、こうした市の判断について問い合わせてみると、こう回答した。 「当初から、われわれは、松江らしい景観を保全する観点からは望ましくないという考えでしたが、一方で、市景観計画の基準を満たしているため容認する判断に至りました。事業者は丁寧に説明しなければいけないと思います……」 松江市は昨年の景観審議会で19階の高層マンション建設を容認し、景観審議委員の再審要請も拒否。つまり、京阪電鉄不動産に「お墨付き」を与えているため、着々と建設が進められているのが現状なのだ。今年3月以降、反対運動が活発化していく中、上定市長は、京阪電鉄不動産の本社に出向くなど、高さを引き下げるよう求めているが、京阪サイドは一切応じていない。 松江市民は、こうした松江市の後手後手の対応や建設計画だけではなく、京阪電鉄不動産の進め方にも激しく憤っている。 「街のシンボルでもある松江城の近くに高層マンションを建てるのであれば、周辺住民だけでなく松江市民を納得させる努力をしなければいけないと思います。それなのに、私たちが何度求めても説明会は一度も開かれていません。一方的にチラシが配布されただけです。 そもそも説明会を開くことは義務ではないので、『法律に則っているから問題ないだろう』というスタンスなのです。自分たちの利益を追求しているだけにしか見えません。一部の富裕層の居住や投機のために、情緒ある松江市の街なみや住民の安寧が犠牲にされてしまうことは許しがたいです」(寺本さん)