なでしこJ、打倒イングランドに3つの鍵
【ポイント 3 エース大儀見の完全復調】 なでしこはグループリーグからすべて1点差で5連勝、異なる7人の選手が1点ずつを決めてベスト4に進んだ。いずれも女子W杯史上で初めての記録となるが、一抹の物足りなさも残る。 この4年間で最も成長し、絶対的なエースストライカーとしてカナダの地に臨んだ大儀見も7人のなかに名前を連ねている。前線からの守備や味方を生かす動きは申し分ないが、鈴木氏は、「まだ消極的なプレーが目立つ」とゴールが少ない点に奮起を促す。 「素晴らしいパスワークから最後は阪口が左足で決めたオランダ戦の2点目。岩渕真奈からパスを受けた大儀見はペナルティーエリアの外へ逃げるような動きから、最後は宮間へのヒールパスを選択した。本来の大儀見であれば、この4年間で身につけた強引にシュートにもちこむ突破力で勝負を仕掛けたはずだ。技術やフィジカルの強さは問題ない。あとは気持ちだけ。エースが決めればチームはさらに勢いに乗ることを考えれば、もっとエゴイスティックになってもいい。イングランド戦で望むのは、前半のうちに先制すること。その役割を担えるのは大儀見しかいない」 ゴールがほしい展開で岩渕、守り切る展開では澤というスーパーサブを確立できた。30度を超えるエドモントンから移動することなく準決勝を戦える点も優位に働く。コンディションも上向き、人工芝のピッチに抱いていた違和感も試合を重ねることで解消された。追い風は確実になでしこへ吹いている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)