輸入食品が高騰!低価格で立ち向かう“和牛の逆襲”
今回のテーマは、「物価高に挑む 食品業界の異端児たち」。 アメリカ大統領選挙でトランプ氏が再選を果たしたことで、日本では“ある食材”の価格が上がる可能性も。世界的な物価高や長引く歴史的な円安などの影響で、庶民の味方だった輸入食品は相次ぐ値上げ。食品価格の高騰は終わりが見えない。 一方、これまで外国産に押され続けてきた日本の高級食材にチャンスが訪れようとしていた。逆境を跳ねのけ、物価高に立ち向かおうと奮闘する食品業界の異端児たちの姿を追った。 【動画】輸入食品が高騰!低価格で立ち向かう“和牛の逆襲”
高級タラバガニが“半値の異変”も…トランプショックで今が最後?
10月下旬、東京・築地。去年オープンしたカニ料理の専門店「築地かに祭り」は、昼間からにぎわいを見せていた。毛ガニやズワイガニも人気だが、店の自慢は身がぎっしり詰まった極太のタラバガニ。オーナーの中村格彰さんは、世界中からカニを輸入する専門商社「築地蟹商」の会長でもあり、この商社では国内に流通するタラバガニの7割以上を扱っている。
店で出す極太タラバガニは全てロシア産。中村さんは「コロナ前と比べると、タラバガニの値段は半額ぐらいになっている」と話す。その理由が、2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻。アメリカ政府が経済制裁としてロシア産タラバガニの輸入を禁止した影響で取引価格が下がり、今、日本で格安で食べられるようになっている。 しかし安くなったとはいえ、タラバガニ足1本の値段は5000円。来店客の大半は円安でお得感が増したアメリカ人だ。カニを食べた客は満足げだが、中村さんはなぜか浮かない顔……。11月に行われるアメリカ大統領選挙の結果次第では、カニの価格が高騰するかもしれないという。
中村さんの不安は的中し、大統領選の結果はトランプ氏が再選。プーチン大統領と相性が良いと言われるトランプ氏が政権に返り咲けば、禁輸措置はすぐに解かれ、再びアメリカがロシア産のタラバガニを買い占める可能性が。「今年で終わりかもしれない。安いカニが食べられるのは」と中村さん。否応なく世界の情勢に左右される食品価格……どう立ち向かえばいいのか。