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廣瀬智央による初の大規模個展がアーツ前橋で開催。約3万個のレモンを用いたインスタレーションも

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美術手帖

 廣瀬智央は1963年生まれ。89年、多摩美術大学卒業後にイタリア政府給費奨学生として渡伊。97年には大量のレモンを用いて嗅覚を刺激する作品《レモンプロジェクト03》で注目を集め、その後も視覚以外の感覚に訴える作品や、異なる民族・文化間に潜む共通領域や差異に触れる作品を発表してきた。  そんな廣瀬による初の大規模個展「地球はレモンのように青い」が、アーツ前橋で開催される。会期は5月22日~7月26日(予定)。  本展では《レモンプロジェクト03》を23年ぶりに、イランの遊牧民と共作したギャベ(絨毯)を用いた《マーレ・ロッソ》を21年ぶりに展示。そのほかにもイタリア渡航以後に発表した初期作品や国内未発表作品、そして新作を含めた約100点でこれまでの廣瀬の活動を展覧する。  20世紀後半のイタリアにおける美術運動「アルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)」の代表的な作家、ルチアーノ・ファブロ(1936~2007)に師事し、豆やパスタ、新聞紙など身の回りのものを用いて、日常生活に潜む小さな事象の豊かさに目を向けさせる作品を手がける廣瀬。《レモンプロジェクト03》で使用したレモンは会期終了後に石鹸や紙へと再生させ、エコロジカルな視点から作品の循環についても思考する。  加えて本展では、廣瀬がアーツ前橋と協働して行う「タイムカプセルプロジェクト」を紹介。前橋市の母子生活支援施設の子供や母親たちと空の写真を交換しあう同プロジェクトは、「生きることとは何か」「感じるということとは何か」といった素朴な疑問を日常生活の経験から改めて振り返り、協働や人間の相互理解の可能性を問うもの。2016年にスタートし、2035年まで19年間の継続が予定されている。  また会期中には、廣瀬と同世代にあたる椹木野衣や中村政人、村上隆をゲストに迎えた対談も開催。本展は、異なる文化圏を横断する廣瀬の創作活動から、矛盾を抱える複雑な世界と向き合う姿勢に触れる機会となるだろう。

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