【第5回】老後貧乏にならないために、今から準備できることは?その2
さて皆さんはリスクと聞くと、どのようなイメージが浮かびますか? 真っ先にイメージするのは、「元本割れ」ではないでしょうか。もちろんこの元本割れは、リスクの一つとして認識しておくことが必要ですが、ここでもう一つ覚えておいて下さい。そのリスクとは、「目標が達成できない」というリスクです。元本割れを恐れるばかりに、全て預貯金のみで運用し、老後までに十分に資産を増やすことができなくて、生活が成り立たない、あるいは希望していた老後の生活像が実現できない、これこそが最大のリスクではないでしょうか。であるならば、運用のリスクを取って、目標が実現できない、というリスクを、最大限減らす努力をすべきです。 確かに、運用上のリスクをゼロにすることはできません。むしろ、投資である以上、元本割れは必ず起こるといってもよいでしょう。それはプロであろうが、皆さんであろうが一緒です。そのリスクを少しでも減らす工夫が、先ほど申し上げた「対象」と「時間」の分散です。 投資のプロではない皆さんが、プロに対して唯一有利な点があります。それが、「時間」です。プロは、常に運用成績を問われます(月次や四半期、半期、年次など)ので、短期的な利益を確定するために頻繁に売買をしたり、価格が下がると損切りをしたりで、なかなか長期的展望に立って、どんと構えて運用する、というのが難しいことがあります。ですが皆さんのゴールは「老後」です。プロと比べて圧倒的に有利なのは、長期的な視野で運用できる、ということです。このことは非常に大切なポイントです。 次回は、具体的な実践方法と配分の考え方について、お話しします。 (社会保険労務士・後藤秀樹) ※金利は11月末現在