【第5回】老後貧乏にならないために、今から準備できることは?その2
前回は、老後に備えるための手段として、保険会社が扱っている個人年金の定額型と変額型について説明をしました。今回はそのほかの手段、「自分で用意する年金」について提案します。
老後は誰にも必ずやってくるものだけに、確実にコツコツと、とお考えの人も多いと思います。ですが、現状銀行の定期預金では、1年物の金利が0.025%程度と、非常に低くなっています(ちなみに、10万円預けて1年後の金利は、わずか25円です[税引き前])。これでは、とても「殖やす」ということはできません。また、個人向け国債も、直近の金利は5年固定、3年固定が共に0.05%、変動の10年で0.21%と、これも「殖やす」という観点からはものたりない数字です。 また、ネットバンクのキャンペーンを上手に利用したとしても、せいぜい0.4%程度。先の定期預金や個人向け国債によりはマシという程度で、これもでもものたりません。もちろん、元本割れのリスクを一切排除し、これらの商品を利用してコツコツと積立てを実行して行く、という方法もありますが、やはり殖やすことは難しいと言わざるを得ません。 そこで提案したいのが、投資商品を上手に資産形成に取り入れる、ということです。年金の準備に適した投資商品の特長は以下のとおりです。 (1)少額からでも利用できる (2)少なくとも貯蓄以上のリターンが期待できる (3)選択肢が豊富 (4)運用の状況が確認しやすい (5)途中で見直しが可能 (6)万一中途で換金するとしても、(中途解約手数料などの)不利益を被り難い これらの条件を満たしていることが大切です。具体的には、投資信託がおすすめです。
前回ご紹介した変額型の個人年金も、この投資信託の仕組みを活用したものですが、短期で解約したときの手数料が、かなり高額であるのがネックです。 さてこの投資信託ですが、なかなかなじみのない金融商品ではないでしょうか。皆さんの中でも、株は買ったことがあるけど、投資信託を買ったことはない、という人が多いのではないかと思います。ではこの投資信託とは、どんな金融商品なのでしょうか。 投資信託とは、次のようなものです。 (1)運用を、信じて託すもの (2)少額でも、株や債券、あるいは海外に投資することを可能にした仕組み つまり、皆さんのお金の運用を、専門家に依頼する、というと分かりやすいと思います。ですが、運用のプロは沢山いますから、その中で誰を信じて託すのか、というのは、大変難しい問題です。 一番大事なポイントは、皆さんが信じて託したお金を、何で運用してくれのるか、ということ。具体的には、大きく分けて、次のようなものがあります。 (1)国内債券 (2)国内株式 (3)海外債券 (4)海外株式 また、更に細分化すると、海外株式の中でも先進国を対象にしたものと新興国を対象にしたもの、また不動産に投資するものもあります。もちろん、どれが一番よいか、というのは答えがありません。なので、まず最初は色々な分野のものに、少しずつ投資するというのが王道です。 例えば老後のために毎月1万円積み立てるとするならば、その全額を1つの投資信託ではなく、複数の種類に投資するのです。例えば、1万円分の投資信託を購入するとしたら、違う種類のもの2種類を5,000円ずつ、5種類を2,000円ずつ、10種類を1,000円ずつ、のようにします。いわゆる分散投資です。 また、一度にたくさん購入してしまい、それが高いときだと値下がりしたときのダメージが大きいので、毎月定期的に購入していく、という手法がオススメです。高いときにも安いときにも同額購入することで、長期的には購入単価が平均化され、利益が出やすくなります。老後の資金準備は当然ですが長期戦。目先の値動きに一喜一憂するのではなく、淡々と積立てを継続することこそが、投資の王道なのです。