男性部下の育休申請に「あっちで話そうか…」〝神〟上司の対応に称賛 ありがちな取得の「壁」が取れた瞬間
連載『#父親のモヤモヤ』 およそ3年前。30代会社員の男性は、職場の上司に育児休業を取りたいと告げました。期間は妻と話し合って決めた2週間。社内では育休取得が呼びかけられていました。ただ、実際にどんな反応をされるのかこわさもありました。「あっちで話そうか」と促す男性上司。不安を抱えて案内された別室で、思わぬ一言がかえってきます。(朝日新聞記者・高橋健次郎) 【画像】「思わぬ一言」はこちら。男性部下の育休申請に「あっちで話そうか…」〝神〟上司の対応に称賛の嵐
30万件超「いいね」
一連のエピソードは、30代で個人事業主の妻が、アカウント名「かなか」(@KanakaTsubaki)でツイッターを使って発信。「いいね」は30万件を超えました。上司の対応は「神か」「泣きそうになった」と絶賛されました。 仕事と家庭の両立に葛藤する男性を描く「#父親のモヤモヤ」取材班では、夫妻や上司に取材。事例を通じて見えてきたのは、育休を取りやすい職場、働きやすい環境でした。
育休は自然なこと
男性は、妻の妊娠5カ月を過ぎた頃、育休取得の意向を告げました。長男(2)の生まれる数カ月前のことです。 夫妻にとって男性の育休取得は自然なことでした。妻は「2人で子育てのスタートダッシュを切りたかった」。夫の男性も「父親として、しっかり子育てに携わりたかった」と話しました。 2週間としたのは、収入減を気にかけたからです。育休中は国から給付金が支給されますが、それでも手取りは減ります。 男性は、育休明けも積極的に関わることを公言していました。いざとなれば、妻の実家の助けも得られそうでした。家計のやりくりも考えた上で、必要最小限の期間を2週間と見定めました。
転職後間もない育休に不安
懸念は、転職後1年ほどしか経っていないことでした。 男性は、接客業から物流業の会社に転職しています。当時はまだ20代。おまけに転職後も部署異動がありました。年齢も社歴も職場歴も浅い状況に、多少の気後れがありました。 社内には育休取得を呼びかける掲示物が貼られていました。それでも「当時、周囲には赤ちゃんのいる男性社員がおらず、職場が本当に受け入れてくれるのか『こわさ』がありました」と男性は言います。 そうした状況の中、男性の上司に2週間の育休を申し出ると、「あっちで話そうか」と別部屋に案内されました。