「えっコレって日本車なの?」「マジで美しい…」国産FF車を世界レベルに導いた先駆者[名車探訪vol.12]
スポーティなイメージをもたらした黎明期のFF車だが、まだまだFR車の後塵を拝することが多かった
ともあれ、そんなじゃじゃ馬ぶりもふくめて、チェリーはスポーティなFF車のイメージを、当時の日本にもたらしたのだった。 フロントエンジン、フロントドライブを意味するFF方式(ちなみにこの略称は日本だけで、海外では使われない)は、けっして新しいアイデアではない。限られたサイズに広い室内や荷台を確保できる合理的なレイアウトとして、1920年代には、さまざまな方式のFF車が登場している。 しかし、それらの黎明期のFF車は、必ずしもFR車に対して優位ではなかった。 かさばるメカニズムを前に集めたことで、かえって室内空間が犠牲になることもあったし、偏った重量配分のため、操縦性や発進加速時の駆動力にも問題が出がちだった。さらに、操舵によって大きく折れ曲がるドライブシャフトに、当時のジョイントは駆動力をスムーズに伝達できず、右左折や車庫入れなどの大舵角では、クルマの動きがギクシャクした。 <画像キャプション> レースカーさながらのオーバーフェンダーを標準装備し、スポーツ嗜好を掻き立てたクーペX-1・R。 <画像キャプション> クーペ1200X-1・R (1973年式) ●全長×全幅×全高:3690㎜ ×1550㎜ ×1310㎜ ●ホイールベース:2335㎜ ●トレッド( 前/後):1270㎜ /1235㎜ ●車両重量:645㎏ ●乗車定員:5名●エンジン(A12型):直列4気筒OHVツインキャブ1171㏄ ●最高出力:80PS/6400rpm●最大トルク:9.8㎏ ・m/4400rpm●最高速度:160㎞ /h●最小回転半径:4.6m●トランスミッション:4MT●サスペンション( 前/後):マクファーソンストラット独立/トレーリングアーム独立●ブレーキ(前/後):ディスク/ドラム●タイヤ:165/70HR13◎新車当時価格( 東京地区):65.0万円 <画像キャプション> A12型ツインキャブエンジン。ストックで80馬力のハイパワー、このクラスのレースのベースエンジンとしても多く使われた。