年2500件超の「KAIZEN」を実行 元フラメンコダンサーの物流包装会社4代目が挑む事業再構築
花壇づくりが社長賞に
社内では、室内の清掃からシステムの効率化まで、大小さまざまなKAIZEN提案が出されます。提出者には全員に褒賞があり、月2回、「社長賞」や「NO.1賞」などで、発案者をたたえています。 雑草が茂っていた工場(石川県かほく市)の敷地に花壇を作って、きれいにしたという取り組みも社長賞に選ばれました。主導したのは、ガーデニング好きの社員だったといいます。 高木さんは「最近では(富山市の)本社でも有志を募り、『花笑みガーデン』と名付けて花壇の整備に取り組んでいます。各社員の好きな分野を生かしながら、現場改善に関する様々なノウハウが社内に蓄積する。それが社風や基盤になっています」といいます。 コロナ禍では、TSKで開発したフェースシールドや防護服、ついたてなど、包装資材を応用した感染対策商品が、1億円の売り上げを計上しました。 フェースシールドは、会社にある素材で世の中の役に立てないかと若手社員を中心に企画し、試作を重ねて生みました。これもKAIZENの土壌があったからといえます。
ベトナム工場をゼロから立ち上げ
高木さんは入社した後、工場勤務と東京での営業を半年ずつ経験。その後、「スペインにも行っていたし、海外は慣れているだろうと」(高木さん)、ベトナムに1人送り込まれ、ゼロから工場の立ち上げに奔走しました。 用地候補として案内された先が廃虚のような場所だったり、完成して受注体制が整ったところで初年度に予定していた仕事が頓挫したり。いくつもの試練がありました。 「最初は社員5人ほどで工場の掃除から始めました。予定していた仕事がなくなったので営業にもまわり、そちらから先に仕事が入りました」 初年度は売り上げが上がらず苦しい状況でしたが、2年目から注文が入るようになり、5年ほどで黒字化を果たしました。「工場が軌道に乗ると、生産性やロスの削減を意識するようになり、現地でもKAIZENを導入しました」 ベトナムで新規顧客の開拓が進んで成長期に入ると、高木さんは帰国し、2022年、社長に就任しました。