年2500件超の「KAIZEN」を実行 元フラメンコダンサーの物流包装会社4代目が挑む事業再構築
フラメンコダンサーから転身
高木さんは慶応大学時代からフラメンコにのめりこみました。2009年に国内コンクールで優勝すると、プロダンサーとして、日本とスペインを行き来します。 しかし、目標だったスペインのコンクールで予選落ちしたタイミングで、父から『そろそろ帰ってこい』と連絡がありました。人生の岐路で選んだのは、家業への入社でした。 「事業承継は選択肢の一つでしたが、絶対に継がなければという義務感があったわけではありません」 「自分がフラメンコで実現したかったのは、より大きい舞台に立つことでした。無料より1万円を払っても見たいと思える公演の方が価値があります。ただ、『観客動員数×客単価』が売り上げと考えると、一人のダンサーが出せる数字よりも、経営者としてチームを作るほうが、社会に与えられる価値や影響は大きいと思い至り、TSKへの入社を決めました」
年2500件のKAIZEN
TSKの強みは、2004年から始めた独自の「KAIZEN」(カイゼン)にあります。生みの親は父・悦郎さんです。 カイゼンといえば、業務効率化で生産性向上を目指すトヨタ自動車に端を発しますが、TSKはその意味合いが少し異なるようです。 「TSKの場合、不況で工場の雰囲気が悪くなったときに、社員たちにどうやりがいを持ってもらうかという観点からスタートしています。社員たちが自分で考えて職場をより良くする中で、やりがいを持ってもらうところが主になっています」(高木さん) 約20年にわたり、1人あたり月4件、年間2500件を超えるKAIZENを継続しており、企業文化となっています。「KAIZEN」は2022年に商標登録もしています。 高木さんが入社した2013年は、「改善実施報告」が社内の文化として根付いたころでした。当初、「月4件の提案は大変だな」と思ったものの、自身も提案をする中で、KAIZENがTSKの土壌となっていると感じました。