ミスチル桜井和寿 「innocent world」とは一味違う“非さわやか”なリリックの秘密
ニューアルバム発売のMr.Children、“非さわやか”こそ真骨頂
極論、Mr.Children(以下、ミスチル)の桜井和寿さんは、さわやかではありません。実は、とても“非さわやか”な男です。 【写真】この記事の写真を見る(6枚) ミスチルの大ヒットしたシングル曲や、CMやドラマのタイアップ曲ぐらいしか知らない人たちからすれば、ミスチル曲のほとんどを作詞・作曲しているヴォーカル桜井和寿さんは、純愛を歌うさわやか兄ちゃん(もう50歳ですが)という印象でしょう。ですがアルバム曲までくまなく聴いているミスチルファンは知っているんです。“非さわやか”な桜井和寿さんの世界観を……。 1989年に結成したミスチルは、1993年にリリースした4thシングル「CROSS ROAD」でブレイク。5thシングル「innocent world」(1994年発売)や6thシングル「Tomorrow never knows」(1994年発売)は、一気にミリオン越えのメガヒットとなり、それ以降、日本音楽シーンの第一線で活躍し続けているのはご存じの通り。 日本を代表するロックバンドとも言えるミスチルが、タイアップ曲を複数収録した20枚目のオリジナルアルバム『SOUNDTRACKS』を、12月2日にリリース。そして今年は12年ぶりとなる『NHK紅白歌合戦』への出場も発表されています。 そんなミスチルを振り返るべく、今回は恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーである筆者が、往年のミスチル曲のなかからあえて、“非さわやか”な桜井節が繰り広げられる曲を考察していきたいと思います。
ミスチルの恋愛ソングを細分化、“陰”と“陽”の桜井節
筆者がミスチルを好きになったのは、ご多分にもれず「CROSS ROAD」きっかけ。中高時代、スクールカースト最下層の4軍男子だった自分にとって、自転車通学ソングがミスチルでした。かれこれ27年間聴き続けていますが、恋愛コラムニスト的観点からミスチルの恋愛ソングを体系化していくと、まず2種に大別できるんです。 10thシングル「名もなき詩」(1996年発売)や19th シングル「NOT FOUND」(2000年発売)のように、比喩などを用いた抽象的表現を主とし、恋愛哲学とも言えるような歌詞で綴られたタイプ。 一方、初期の曲である1stシングル「君がいた夏」(1992年発売)、2ndシングル「抱きしめたい」(1992年発売)、3rdシングル「Replay」(1993年発売)などは、同じ恋愛ソングでも“相手”や“場面”が具体的なタイプ。 ※【】内は歌詞の引用 「君がいた夏」 【夕暮れの海に ほほを染めた君が 誰よりも 何よりも 一番好きだった】 「抱きしめたい」 【人波で溢れた 街のショウウィンドウ 見とれた君が ふいに つまずいた その時 受け止めた 両手のぬくもりが 今でも】 「Replay」 【防波堤に打ち寄せる 波の飛沫 浴びれば 出会った日の二人がReplayしてる】 このように、まるで映画やドラマのワンシーンを切り取ったかのように、シチュエーションをリアルに描写しているんですよね。 そして、“相手”や“場面”が具体的なタイプの恋愛ソングも、さらに細分化することができます。それは“陽”の具体的恋愛ソングと、“陰”の具体的恋愛ソング。