子育て支援後進国・日本? 少子化が加速するなか、2023年向かうべき道は
「1日が綱渡りの生活と聞き戦々恐々としている」小さな子どもを持つ保護者からは悲鳴があがる。少子化が加速する中、政府は「国の存続に関わる問題」として、子育ての支援策をまとめた。しかし、金銭的支援だけでは根本的解決にならないとの指摘も。
■「戦々恐々」子育ての現状に悲鳴
「仕事に復帰しているママさんから1日が綱渡りのような生活と聞いて戦々恐々としている」「復帰しても、時短勤務になるので給料も下がるし、保育料もかかる」「出産の一時金が増えるが、子育てはそこで“おしまい”ではない。そこからがお金がかかるところ」…都内の子育て支援施設を訪ねると、保護者からはこのような声が聞こえてきた。 仕事と子育ての両立への不安。時短勤務を選んだとしても、給料が減額される一方で、おむつや服、保育園の費用、教育費など、経済的な負担もどうしても大きくなる。少子化が急速に進むなか、日本が“子育てしやすい環境”を整えることは不可欠。日本は今後、どのような道筋をたどるべきなのか。
■加速し続ける“少子化問題”
そもそも、日本の少子化はどれほど深刻なのか。第二次ベビーブームのピークには200万人を超えていた日本の出生数は年々減少し、2015年には、半分のおよそ100万人にまで減った。さらにそこから減少のペースは加速。2022年の1月から10月までの速報値は、わずか66万9871人となった。このままでは年間を通しての出生数は80万人を下回り、統計が始まって以来最少となる見通しだ。 少子化による悪影響は様々だ。例えば、労働者・消費者の数が減って経済規模が小さくなることが容易に想像される。また、福祉や年金をはじめとする、社会保障の財政も打撃を受ける。将来の現役世代1人あたりの負担が増えれば、制度の土台が不安定になる。日本社会のあらゆる側面にネガティブな影響が出てくるのだ。 しかし、これまでの日本は諸外国に比べて、子育てに対する公的な支援が手薄だというデータがある。OECD(=経済協力開発機構)によると、日本の子供・子育て関係の公的な支出は、GDP比で1.79%。OECD平均の2.34%を下回り、支援に力を入れるフランスやスウェーデンと比べると、およそ半分ほどにすぎない。