永山瑛太、初共演の中村七之助に「見惚れてしまっていました」
1月2日(土)に中村七之助と永山瑛太主演の正月時代劇「ライジング若冲 天才 かく覚醒せり」(夜7:20-8:45)がNHK総合ほかで放送される。 【写真を見る】作中に登場する作品はリアルに再現されている 同作は、「奇想の画家」と呼ばれる江戸時代の絵師・伊藤若冲の謎に包まれた天才の実像を綿密な考証と大胆な仮説に基づきドラマ化。 若冲(七之助)が、終生の最高の理解者である僧侶・大典(永山)らとの密で濃い交流を通じて、“天才”へと目覚めていく姿や、若冲の最高傑作「動植綵絵」誕生の秘密などを描く。 今回、若冲役の七之助と大典役の永山にインタビューを実施。 互いの印象や若冲の作品の魅力について聞いた。 ■七之助「瑛太さんに任せておけばいい」 ――若冲と大典はお互いに影響を受けるという役どころですが、七之助さんと永山さん自身がお芝居をする中で影響を受けたことがあれば教えてください 七之助:瑛太さんはもう僕があまりテレビのお仕事をさせていただく機会がないので、「うわ、瑛太だ」って感じで…(笑)。僕は映画が好きなので色んな作品で瑛太さんを拝見していて、いつもいい役者さんだなと思っていました。 作品では大典さんが若冲を絵の道に進むように背中を押してくれるという存在で。役どころ同様、瑛太さんに引っ張っていっていただきました。 私はテレビドラマの主演も初めてで不慣れなものなので、ドキドキしながら撮影に入ったのですが、初めて瑛太さんとご一緒した大典さんがこちらを振り返ってニコっとするシーン。 もう目を見た瞬間に「ありがたいな」と。役者としてビビッときたと言いますか、これは役としても役者としても引っ張っていってくれるなと感じました。 僕はもともと女形なので、立役さんに引っ張っていってもらうと能力がのびるというスキルを持っていまして(笑)、相手役さんが心からやってくださらないと共倒れしてしまうような危険性もあり…。 今回は瑛太さんとお芝居をした瞬間に「これは任せておけばいい」と。本当に流れに身を任せながら撮影の約一カ月間、務めさせていただきました。 瑛太:七之助さんとは撮影の前にも本読みやお祓いでお会いはしていたのですが、どうしてもお声を掛けられないというか…。 普段だったら共演者の方と世間話をしたり、コミュニケーションを自分からとろうとするのですが、何か普段とは違ったドキドキ感が芽生えてしまいまして…。 大典は若冲に一目惚れをするというような描写があるのですが、七之助さんご自身も佇まいがきれいで、妖艶さもあり、お芝居の時だけでなく、待ち時間などでも「すごくきれいだな…」と見惚れてしまっているような状態で…。緊張していました。 でも歌舞伎界を担っている方なので、人としての器の大きさや安定感で、僕がアイデアを出したり、思い切った芝居をしても絶対に七之助さんは受け止めてくれるという安心感もありました。 撮影が始まってからもそういった安心感の中で演じることができました。 ■若冲の絵からは「神気が見える」 ――今作は伊藤若冲が題材になっていますが、実際に作品をご覧になったことはありますか?また、その魅力を教えてください。 七之助:本物を拝見いたしました。感想は…びっくりしましたね、一言。固まりました。 作中でも若冲の絵には「神気が見える」という表現があるのですが、本当に見えるなぁって。 表現が間違っているかもしれませんが、ちょっとした怖さもあり、かといってリアルではない。にわとりは実際にあんな格好はしないですし…。 僕は素人なので絵については全然わからないのですが、若冲は表面だけではなく、生きているものの内面を見て、それを色というもので表現しているのかなと。純粋に作品を見た時にそういったことを感じましたね。 魅力はカラフルで見た目がきれいですが、その中にうごめくものがあるというのは特徴なのではないかなと。 円山応挙とか池大雅とはまた違う。円山応挙や池大雅の絵は生活や風のにおいが感じられますが、若冲はにわとりとかあまり注目されないものを軸に置いている。 それを描こうという度胸とその内側を描いているのが魅力なのではと思います。 瑛太:画集をスタッフの方にいただいて見ていました。あとはネットオークションで自分で買ってみようかなと思ったのですが、とても買えるような値段じゃなくて…(笑)。 若冲が描くにわとりは正面からとらえているものがあるんですよね。 普通だったら横向きに描いて、全体の羽ばたく姿を描くと思うのですが…。 作中には、にわとりを観察するために実際に部屋にチャボを20羽くらい入れて放し、それを若冲と大典が四つん這いになって観察するというシーンがあります。 若冲は動きを見逃さないように全ての角度から観察して、にわとりの心の模様みたいなものをキャッチしようと永遠に見ているんです。 そういったシーンから、にわとりの内面を表現するためにものすごい時間を費やしていたんだなということや、若冲の着眼点が面白いということが分かると思います。 ※後日、1月16日(土)のNHK BSプレミアムでの完全版放送に向け、後編をアップ予定