驚きの成功率でウミガメの巣を見つける犬がいた、研究 探知犬への期待高まる
「保護活動にインパクトを与える日を心待ちにしています」
米国南東部では5月から10月にかけてアカウミガメやケンプヒメウミガメといった5種のウミガメが闇に紛れて上陸し、自分が生まれた砂浜に産卵する。 【動画】犬と仲良しのカメ、いつも一緒 この間、ウミガメを愛する何千人ものボランティアが、個体数データを収集し、捕食者や人から巣を守る取り組みの一環として、海岸線をくまなく歩き、ウミガメの足跡をたどる。 しかし、砂に残された足跡が混乱を招くこともある。ウミガメのメスは海から出るが産卵せずに戻ってくる「フォールス・クロール(偽の上陸)」を頻繁に行うためだ。また、ウミガメは砂浜の広範囲を足跡でかく乱し、捕食者から巣を隠す。そのため、ボランティアはしばしば、推測で卵の在りかを探すことになる。 最新の研究で“人の親友”のほうがうまく探せることが示唆された。9月13日付けで学術誌「PLOS ONE」に発表された実験では、嗅覚訓練を受けたドリーというイヌがボランティアより正確に卵の在りかを特定したのだ。 「ドリーのような『自然保護探知犬』はウミガメの巣づくりをより完全に理解する助けになる」と、研究を率いたディズニー動物科学環境部門で自然保護活動に取り組むレベッカ・リンドボリ氏は話す。米国のウミガメはすべての種が絶滅の危機にあるため、巣づくりの習性は極めて重要な情報だ(ウォルト・ディズニー・カンパニーは、雑誌の発行やテレビチャンネルの運営を手がけるナショナル ジオグラフィック・パートナーズの支配株主で、過半数の株式を保有する)。
友好的な競争
リンドボリ氏はイヌの行動学者であるぺぺ・ペルイエロ氏に協力を求めた。ペルイエロ氏は警察犬の訓練士として20年以上にわたって探知犬を訓練してきた経歴を持つ。ペルイエロ氏は救助犬のドリーをこのプロジェクトに抜てきした。ドリーは米フロリダ州のハイウエー沿いをさまよっていた2歳のテリア系雑種だ。 ペルイエロ氏はリンドボリ氏の手助けを借りつつ、ドリーがウミガメの卵を覆う「粘液」のにおいを探知するよう、約15メートル四方の人工ビーチで何カ月も訓練を重ねた。 そして、フロリダ州魚類野生生物保護委員会を説得し、人とイヌの“友好的な競争”を行う許可を得た。 2017年と2018年の巣づくり最盛期に、2つのグループがフロリダ州ベロビーチの全長8キロメートルに及ぶ海岸線をパトロールした。 1つ目のグループはドリーとリンドボリ氏で、ドリーの嗅覚を頼りに、ウミガメの卵がある場所に印を付けた。それ以外の日は、2つ目のグループであるボランティアのチームがパトロールを担当した。ボランティアには経験1年の人もいれば、何十年も夜明けのパトロールを続けている人もいた。