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【30万に1人の難病・魚鱗癬】苦しみから希望(退院)へ! それは少しずつでも確かに伝わる母の我が子への愛情

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 難病「道化師様魚鱗癬」を患う我が子と若き母の悲しみと苦しみ。「ピエロ」と呼ばれる息子の過酷な病気の事実を出産したばかりの母は、どのように向き合ったのか。『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』の著作を綴った「ピエロの母」が医師から病名を宣告された日、母は我が子の「運命」を感謝しながら「これからの親子の人生を豊かなものにしよう」と新たなる決意をした。  今回は、我が子に薬を与えることで、次第に確かな愛情が高まり、「退院」という希望の光が見えてきた瞬間までの想いを綴った。 【30万に1人の難病・魚鱗癬】苦しみから希望(退院)へ! それは少しずつでも確かに伝わる母の我が子への愛情 ■今は、しょうがない。 看護師さんがシリンジを使い、少しずつ陽(我が子)の口に薬を含ませていく。 あふれないように、少しずつ、少しずつ、口の中に入れていく。 ふと疑問に思い、 「どんな味がするんですか?」と尋ねると、 「ん~、油を飲んどるようなもんかなぁ?」 「もうちょっと大きくなって、味が分かるようになってきたら、あげるの大変になるかもやなぁ~」 と答える看護師さん。 ・・・。 そしてさらに「これ退院したら、薬の調合もお母さんに、してもらわんならんでなぁ~!」 「お母さんやることいっぱいやけど、陽ちゃんのために頑張ってもらわななぁ」 ・・・!? 調合って? そんなの素人がしてもいいの? 頭の中が「???・・・」で埋め尽くされていると、あっという間に薬の時間が終わった。 この薬は1日1回、明日からは私が、陽に薬をあげることになった。 その後も陽と過ごしていると、パーテーションからひょこっと顔を出し、 「よ~うちゃん!」と声を掛けて下さる保育士さん。 いつもいつも、優しい笑顔、優しい声、可愛い保育士さん。 いろんな歌を陽に聞かせてくれて、たくさん話をしてくれる。 「お母さん、聞こえてなくても、こうやってお歌うたったり、たくさん話しかけてあげてね。絶対に陽ちゃんに届いているから」 「一方通行だなんて思わないでね」 「ほら、話し声が聞こえると、なんだか陽ちゃんの表情、明るくなるでしょ!」 「陽ちゃん、今日もお母さんと一緒で、嬉しいねぇ」 「お母さんが帰った後、淋しいのか、泣いていることが多いんですよ! 陽ちゃん、ちゃんと分かってるんです」 正直に言うと、陽の表情が明るくなったかどうかは、見てもわからなかった。 でも、「絶対に届いている」という保育士さんの言葉は、とても嬉しかった。 私の声は、陽に届いていると思いたかったから。 ずっとそう思って、声をかけてきたから。 だから、断言的に届いていると言って頂けたことで、 胸の奥にあった不安が、少し和らいだ気がした。 しかし「私が帰った後に泣いていることが多い」ということも知り、少し和らいだところがまた締めつけられるような、切なさが襲った。 仕方ない、仕方ないんだ。 いまは、しょうがない。 そう心の中で言い聞かせ、 「明日からは、母ちゃん、お薬頑張るね。またすぐ来るからね。陽、おやすみ」 と声をかけて病院を後にした。

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