亡きリーダーのレシピ基に「清和のおせち」再現 熊本・山都町のJAかみましき 農家や主婦ら販売に向け着々準備
山都町のJAかみましき清和加工所で、熊本県内産の野菜など国産食材を使った「招福おせち」の準備が着々と進んでいる。長年おせち作りを引っ張った同JA臨時職員の飯星誠子さんが2月に71歳で亡くなり、今年はリーダー不在。地元農家や主婦ら10人が、飯星さんの残した味を引き継ごうと奮闘している。 招福おせちは、旧清和村時代から販売しているロングセラー商品。飯星さんは1987年ごろからメニューを開発。数年前にがんを患い、闘病しながらおせちや加工品を作り続けていた。昨冬は入院して加工所に足を運べなかったが、電話で味付けや調理のポイントを指示し、最後までおせち作りを支えた。 飯星さんが亡くなった後、残ったメンバーは「もうおせちは続けられない」と考えた。しかし、定番メニューのレシピを記録した飯星さんのノートが加工所と自宅から見つかり、継続を決意した。今年も、山都町産ユズ皮の甘煮や宮崎県五ケ瀬町産ヤマメの甘露煮、上益城郡で取れたサツマイモのきんとんなど19品を詰める。
中学時代から親しかった倉岡幸子さん(72)は「仕事に真っすぐだったのでノートを残していたよう。誠子さんへの恩返しの意味も含め、続けたかった」。矢部高の同級生だった後藤誓子さん(72)は「誠子さんに怒られないよう頑張っている。心を込めて手作りした郷土の味を、ぜひ新年に楽しんで」と呼びかけた。 おせちは1セット3~5人分で1万5千円(送料別)。申し込みは12月20日まで。フリーダイヤル(0120)150354。(枝村美咲)