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『JJ』編集長が語る、ファッション誌の進む道 「リアルなことじゃないと読者にはもう響かない」

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リアルサウンド

 赤文字系ファッション雑誌の先駆けとも言える存在『JJ(ジェイ・ジェイ)』。本誌はもともと『女性自身』別冊として創刊された経緯があり、今もなおトレンドに敏感な女性たちの憧れをリードする存在である。過去には「おしゃP」、「ブロモ」など本誌発のトレンドキーワードを流行させ、SNSなどで人気のインフルエンサーを多数輩出している。そんな『JJ』が創刊45周年の節目を目前に表紙イメージやコンテンツを刷新。こうした変化を試みた理由や、現在の『JJ』が目指している場所など、編集長である今泉祐二氏に話を聞いた。 【画像】リニュアール号となった2019年9月号『JJ』 ■『JJ』らしさと現状 ーーもともとは大学生が、最近まではAround25がターゲットだった『JJ』ですが、ここ10年の間にターゲットや雑誌のスタイルを大きく変えているように感じます。特に2019年9月号~12月号ではスナップも増え、表紙のイメージや特集の内容が大きく変わりました。きっかけはありましたか? 今泉:2019年9月号から読者ターゲットをaround25から大学生へと下げました。改めて読者を捉え直そうと、創刊号に近いイメージで0からやり直すことになりました。ターゲットを決め直し、その読者層が興味のあることを特集し、形にしていきました。そのため2019年9月号では札幌から韓国まで国内外に関わらず700人弱のスナップを掲載、そして2019年11月号でターゲット層に合わせたファッション特集、2019年12月号では同世代のインフルエンサーや女優、アイドルのインタビューを掲載しました。さらにスナップを700人弱撮る中で、「今彼女たちが何を知りたいのか」をリサーチするなど、読者を捉えなおすということを実際の誌面を使って進めました。 ーー『JJ』らしさを損なわずにスタイルを変えていくことはとても難しいことかと感じます。実際に着手してみて、苦労したことはありましたか? 今泉:昔の話にさかのぼりますが、80~90年代の『JJ』は東京生まれ東京育ちで、港区や渋谷区、目黒区に住んでいるような裕福な女子大生がターゲットでした。そういったことからも、品の良さや育ちの良さ、都会にいる感度の高さというのが『JJ』らしさだと感じており、そこは今も残しています。ですが、この“らしさ”は悪い意味でスクールカースト上位の人のイメージにもなり、見方によっては好かれない存在にもなってしまいますよね。特に現代は、“カースト上位”になることを煽ってもみんな真似をしないんです。「スクールカースト上位の女の子になりたい」っていう子がいないんですよ。今はそれぞれにコミュニティがあり住み分けがなされていて、モテたい子もいればオタク活動を楽しみたい人もいる、さらには会社でキャリアを積みたい人もいて、それぞれが共存している世界。そうなるとファッション雑誌で服を見せていくことが非常に難しいなと感じました。昔なら、「この服を着ればお洒落に見える」という切り口ができましたが、そうならない世代なので、すごくミニマムな戦いになってきています。 ーーそういった読者層に対して、戦略を変えようと思うことはありますか? 今泉:今はファッションの正解を探している状態です。ユニクロやGUは店舗も多くて買いやすいですが、実際に誌面で取り上げて雑誌としての個性を出すのはとても難しい。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外に着ていく“ファッション”への関心の薄さには拍車がかかっています。ルームウェアを特集するなど対策は練っていますが、毎月やるわけにもいかない。そもそもファッションに興味のない読者を取り込むためには、ファッションだけで12号特集を回すことは難しい状況です。そのため、韓国特集を組もうと企画していましたが、新型コロナウイルスの影響で現状そういった特集もできなくなってしまいました。今は世の中の流れもあり、やろうと思っていることができていないという状況です。ですがライフスタイルから特集を企画する流れが強くなっているので、毎月の特集でファッション以外を取り入れていく可能性は、以前より高まっていますね。 ■ウェブと誌面、考え方の違い ーー現在の読者層はSNSでの情報収集が主だと思います。そんな中で、公式SNSやJJ netなどのウェブ媒体、本誌の誌面の違いはどのように作っていますか? 今泉:よく言われていることではありますが、ウェブはスピード感を重視しています。ウェブではウケるものが決まってしまっていて、ユニクロ・GUやプチプラコスメでしかPVが稼げないんです。それに独自のコンテンツを作るなら、誌面でやりたいと思っていますし、PV数やバズには繋がらないけれどこの世代の子たちが面白いと感じるものがあるならば、同じように誌面で特集していこうと思っています。ユニクロ・GUやプチプラコスメに関しては、『JJ』のフィルターを通してできる範囲のことをウェブで展開していこうと考えています。単純に媒体が違うから、取材する内容も出す記事も変えるということです。 ーーファッション自体も、流れが急速に変わってきていると思います。店舗での購入からECで購入する人が増え、韓国など海外のECがより低価格でトレンド感のあるものを販売していますが、こういった流れに雑誌も影響を受けていますか? 今泉:そうですね。昔は、服を購入するのに駅ビルや百貨店で買う方が多かったと思います。今はそれが激減していて、百貨店は50~60代がメインの購買層に。ギリギリ、ルミネが20代に支持されているという体感ですかね。こういった経緯もあり今の読者層は大手のアパレル会社が発信するスタイルにピンときていないのかなと感じてしまいます。単純に値段が高く、トレンドが反映されるまでが遅いので「だったらもう韓国のECでいいじゃん」ってなってしまっているのが現実ですね。今の読者層はZARAでさえ高いと感じているんです。そこまでファッションにお金をかけたくないという感覚は、今の若い世代は実はもう“ファッションにそんなに興味がないのではないか”とも感じてしまいます。 ■学生の「リアルな声」が雑誌を動かす ーー現在は読者だけでなく、クリエイティブサイドにも大学生を採用し、リアルな声を拾って読者にコミットする内容を作っているとのことですが、学生を積極的に採用しようと思ったきっかけや実際に一緒に働いてみて感じることを教えてください。 今泉:前述の700人のスナップ撮影をした際に、『JJ』を知らない子がいて、それがすごくショックでしたね。メインとなるターゲット層がもともと雑誌を読まない世代なので、どうしたら読んでもらえるかを考えた時に、『JJ』のスタッフサイドにも大学生をたくさん採用しようということになりました。やっぱりその世代じゃない人たちがいくら若い子のことを話しても説得力がないし、肌感としても読者層に伝わらないんです。なのでJJ girlという大学生のスタッフたちと一緒にJJを作ろうという結論に至りました。編集部で「これ本当に流行ってる?」などと企画に関して彼女たちに相談することもあります。リアルな声を聞けるので、とても助かっています。 ーー今後『JJ』をどうしていきたいか展望を聞かせてください。 今泉:一番の目標は大学生がみんな『JJ』を知っている状態を作ることです。大学生がターゲットだとはっきり明言している雑誌はないと思いますし、他誌は読者が誌面に出てきている感じが少ないと思うので、そこで勝負をかけたいですね。『JJ』より若い高校生向けの雑誌で販売数の多い『Popteen(ポップティーン)』(角川春樹事務所)や、『Seventeen(セブンティーン)』(集英社)はそこが上手いなと思います。「Popteenカバーガール戦争」や同じくPopteenの「レギュラーモデル総選挙」などは読者が参加している感じがすごく出ていて、応援しながらのめり込んでいく様子がわかりますよね。作られたモデルや作られた表紙とかは求められておらず、リアルなことじゃないと読者にはもう響かないのではと思っています。もったいないなと感じるのは、高校生まで『Popteen』や『Seventeen』を読んでいた子たちが、大学に進学すると急に雑誌を買わなくなってしまうこと。雑誌を読まなくても、スマホが自由に使えて情報が入ってくることが要因で離れていってしまうのかなと考えています。『JJ』自体も読者を巻き込むことで、多くの人に『JJ』という存在を知ってもらいたい。JJnetや本誌、イベントなどで『JJ』の冠をつけたらみんなが安心して楽しめるようにしていくこと。ここに持っていくのに3~5年はかかると思いますが、それが今我々の目指している場所です。

Nana Numoto

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