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【 #コロナとどう暮らす】感謝や支援、広がる輪 未知のウイルス、感染不安は続く

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岐阜新聞Web

 「病気よりも、自分が感染者になったときの周りの目の方が怖い」。3月下旬、岐阜県可児市でクラスター(感染者集団)が発生し、県内で感染者増に拍車が掛かっていた時期、岐阜市内の主婦が口にした言葉だ。新型コロナウイルスの感染拡大は、生活様式だけでなく、社会や人への接し方に対する意識も大きく変えた。街を歩く人のほとんどが、マスクを着けるようになった。未知のウイルスは人々に大きな不安を与えた。一方、暮らしを支える人たちへの感謝や支援の輪が広がり、互いを思いやる気持ちも深くなった。  新型コロナウイルスに対する防衛手段は、100年前のスペイン風邪と何ら変わらない、せきエチケットや手洗いといった基本的な感染症対策、そして人との接触を避けることぐらい。一方で、ネット上には不安をあおる情報やデマがあふれ、人々を心理的にも疲弊させていった。「コロナの情報を見聞きすると、逆に気持ちが落ち込んでしまうのでなるべく触れないようにした」と、岐阜市の女性(38)は外出自粛期間中を振り返る。  感染リスクを抱えながら最前線で患者と向き合う医療従事者が、いわれなき偏見や差別を受けた。岐阜大病院で働く医療従事者の子どもが、院内の医師が感染したことを理由に保育園から登園を拒まれる出来事もあった。  「新型コロナウイルスに感染しても無症状の人がいる。知らないうちにウイルスが入り込み、拡散する怖さがある」と、岐阜赤十字病院(岐阜市岩倉町)の林昌俊院長(59)は訴える。県内では唯一の第一種の感染症指定も受け、感染者が確認された当初から受け入れてきた。  4月上旬から中旬にかけて岐阜市でクラスターが相次ぎ、現場の緊張感が高まっていたさなか、医療崩壊が起きているという内容のチェーンメールが会員制交流サイト(SNS)で拡散された。「事実とは違う内容に職員たちはつらい思いをしたが、SNS上で反論してくれる人もいて、ちゃんと私たちを見てくれている」と励まされた。  全国で医療従事者への感謝の気持ちを表した取り組みが相次いだ。県内では4月下旬の大垣城を皮切りに、JR岐阜駅北口の広場などで医療従事者への感謝を青い光で表した「ブルーライトアップ」が行われた。自分たちも苦境に立つ料理店からは弁当、企業などからはマスク、市内の小学生からは激励のメッセージが同病院に届いた。それはねぎらいの気持ちが形となって表れたものだった。「患者を治療することが地域貢献につながっているのだと、皆さんの応援がうれしかった」と、林院長は話す。  「当たり前と思っていた日常がいかに尊く、感謝すべきことだったのか」。この週末、久しぶりの買い物を楽しんだ、岐阜市内の会社に勤める40代の女性は笑顔を見せた。コロナ禍の制約された暮らしは、多くの人々にそんなことも気付かせた。       ◇  岐阜県に出された政府の緊急事態宣言が解除され、1カ月が過ぎた。コロナ禍は人々の暮らしや働き方、意識をどう変え、何をもたらしたのか。第2波への備えとして現場を検証する。

岐阜新聞社

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