なぜ「ハンドルクーラ」は採用されない? ヒーター搭載車は増加も! 夏の救世主が現れない理由とは
ステアリングクーラーがないのは構造的な問題?
クルマによっては、ステアリング部分にヒーターが内蔵され、気温の低い冬でも操作がしやすいように配慮されています。 一方で夏の運転では「ステアリングクーラ」を搭載するモデルはないため、熱さとの戦いになります。 なぜさまざまな快適機能が普及するなかでステアリングクーラは採用されないのでしょうか。 【画像】ステアリングクーラ無いけど…日本最強級の「後席」が豪華過ぎる! ファーストクラス並の空間がスゴい! (36枚)
ステアリングヒーターは、文字通りステアリングを暖めてくれるヒーター機能です。 スイッチをONにすると、ステアリングがカイロのように暖かくなり、素早く手を暖めることができます。 かつては高級車や上級グレードの一部に採用されていた装備でしたが、最近では車両価格問わずさまざまなモデルで採用されており「温度調整機能」や「タイマー機能」といった機能も搭載されています。 一般的に、ステアリングヒーターは、ステアリング内部にヒーター装置(電熱線)が埋め込まれており、電気を熱に変換する仕組みです。 冬のかじかんだ手では、ステアリング操作を正確におこなえない可能性があるため、ステアリングヒーターは、快適機能としてはもちろん、運転の安全性を高めるという役割も担っています。 そんなステアリングヒーターですが、一般的に気温が高い夏の季節には、その出番は皆無です。 一方で、夏の車内では日差しなどによりステアリングが熱を帯び、握れないほどの熱さになっているときもあります。 そんなときは、ステアリングを急速に冷やす機能がほしいものですがいわゆる「ステアリングクーラー」は存在しないのでしょうか。 各メーカーの現行モデルを見てみると、ステアリングヒーターを装備しているモデルはあっても、ステアリングクーラーを装備しているモデルは見られません。 ステアリングクーラーが搭載されない背景には、どのような理由があるのでしょうか。 とある自動車メーカーの担当者は「構造上の問題が関係している」としつつ、「ヒーター(電熱線)は、ある程度自由度があると思うのですが、クーラーとなるとエアコンの風しかないので作り的に難しいと思われます」と説明します。 前述のように、ステアリングヒーターの熱は、電熱線を活用することで生じますが、その構造はさほど複雑ではなく、クルマのリアガラスやシート表皮など、さまざまな部分で使われています。 このように、温めることに関しては電熱線を活用できますが、冷やすとなると、その構造はかなり複雑なものとなります。 車内で冷やす機能といえば、カーエアコンが挙げられます。カーエアコンでは、液体が気体になるときに熱を奪う“気化熱”の性質を活用して冷気を発生させています。 コンプレッサーやコンデンサーといった機械が、気化したエアコンガスを循環・圧縮させることで、空気を冷やし、車内に涼しい風を吹き込みます。 また夏場の着座を快適にするのが「シートベンチレーション」で、これはシートの穴から風を送るタイプと吸い込みタイプの2種類が存在します。 どちらもシート内部に風を通す機構が備え付けられていますが、同様の構造をステアリング内部に内蔵するのは難しいといえそうです。 また、前述とは別の自動車メーカー技術者は「問合せを頂くまで、ステアリングクーラというものを想定していませんでした。やはり電熱線で対応出来るヒーターとは違い、冷やすということは難しいものです。しかし夏のステアリングは高温になることも多いため、何かしら出来ないかは考えてみたいですね」と話しています。