苦しみながらも岡山学芸館が3連覇に王手
10月25日、第99回全国高校サッカー選手権大会 岡山県大会の準決勝が行われた。第1試合の玉野光南と岡山学芸館の一戦はPK戦までもつれ、0-0(PK6-7)で岡山学芸館が勝利。31日の決勝では3連覇をかけて作陽と対戦する。 【フォトギャラリー】玉野光南 vs 岡山学芸館 打ったシュートは玉野光南が4本に対し、岡山学芸館は17本。「本当にしんどかった。点が獲れるかなと思っていたけど、クロスの精度が今一つだったのでなかなか獲れなかった」と高原良明監督が零した通り、苦しみながらも岡山学芸館が3連覇に王手をかけた。 前日の準々決勝、明誠学院戦は緊張のため動きが堅く、ロングボールが多くなってしまったが、この日は「間でボールを受けて散らすのが自分の役目」と話すMF宗川遼哉(3年)を中心に落ち着いてボールを動かした。相手エリアでは、「真ん中は狭いので、サイドを起点にしながら攻めようと考えていた」(高原監督)通り、MF池本康生(3年)と竹川奏(2年)がサイドを仕掛けてチャンスを伺ったが、「シュートも打たれたけど、フリーで打たれる場面はほとんどなかった。守備でやりたいことができていた」(乙倉健二監督)玉野光南の守備を崩しきれない。前半26分には、GKのキックをFW中田樹音(3年)が前線でカット。ゴール前にこぼれた所を振り向きざまに狙ったが、シュートは勢いなくGKがキャッチ。33分にも中田が左サイドから強引にシュートまで持ち込んだが、DFに阻まれCKとなった。 押し込まれる時間帯が続いた玉野光南も、MF木下礼生(3年)がドリブルとクロスで左からチャンスを作り、乙倉監督が「ワイドレーンの選手だけど完全に攻守の要だった」と評する働きを見せた。34分には木下のクロスから、FW大橋勇貴(3年)がヘディングシュート。後半12分には大橋の右クロスを木下がダイレクトで落とし、FW東内晟(3年)がゴールを狙ったが、同点に追いつけない。両者、譲らず迎えた延長戦も手に汗握る展開は続く。延長後半2分にはMF今田光星(3年)の縦パスを受けた宗川が素早いターンからドリブルで前進し、PAにパス。ラストはMF須賀大貴(3年)がシュートを放ったが、DFに阻まれた。終了間際にも岡山学芸館は自陣でのFKを相手ゴール前に展開。MF末瀬由太郎(3年)が打ったシュートのこぼれをFW中原佑樹(3年)が詰めたが、サイドネットに終わった。 チャンスを活かしきれず、PK戦を迎えることになった岡山学芸館だが、気落ちした様子は見られない。「PKになったら後は勝ちたいかの気持ちだけ。萩原が止めてくれるから、信じて気持ちを込めて蹴りなさいと指示した」と振り返る高原監督に背中を押され、決戦に挑んだ。決着がついたのは、9人目。「プリンスでPKを止めていたので、アイツなら1本止めてくれそうだなと思っていた」という指揮官の期待に応えたGK萩原瑠翔(3年)がキックを止めて勝負あり。歓喜に沸く岡山学芸館を尻目にあと一歩で決勝行きを逃した玉野光南の乙倉監督は「色んな我慢が続いた年だからこそ良い想いをさせてあげたかった」と悔しさを滲ませた。 (文・写真=森田将義)