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大気汚染は健康脅かす「最大の環境リスク」、欧州会計監査院

配信

The Guardian

【記者:Arthur Neslen】  大気汚染は今や欧州において人々の健康に対する「最大の環境リスク」となっているが、各国政府はこの危機に適切に対処していないとする報告書を、欧州会計監査院(EU Court of Auditors)が公表した。  報告書によると、欧州の大気汚染基準は世界保健機関(WHO)の基準より「大幅に緩い」が、そもそも基準自体に従っていない欧州連合(EU)諸国も多いという。  大気汚染により毎年40万人が早死にしていると推定される。このうち最大4万人が英国で死亡している。だが、英政府は2010年以降、EUの大気汚染に関する基準に違反しており、欧州委員会(European Commission)は欧州司法裁判所(European Court of Justice)に英国を提訴する決定を下した。判決によっては、数百万ポンドの罰金の支払いを命じられる可能性がある。  欧州議会議員のセブ・ダンス(Seb Dance)英労働党副党首は欧州議会で、英政府が大気汚染に対応しないのは「恥ずべきこと」だとして、同国の保守党を非難した。「保守党はEUが定めた基本的な大気汚染防止基準さえ満たしていないのに、『グリーン・ブレグジット』を主導すると主張している。信じる人がいるとでも思っているのだろうか」  欧州環境事務局(EEB)が先月、法の抜け道を利用してうまく「既存の排出量を調整」し、二酸化窒素排出制限基準を事実上引き上げていると非難した11か国には、英国も含まれていた。 「政府は国民に危険を及ぼすものとなった」と、ダンス氏は糾弾した。  報告書ではまた、欧州司法裁判所が、欧州の大気汚染の基準をWHOの基準に合わせるよう求めていると指摘している。WHOでは、粒子状物質(PM2.5とPM10)排出量についてはEUの少なくとも2倍、二酸化硫黄(SO2)については6倍厳しい基準を定めている。  報告書の主筆を務めたヤヌシュ・ボイチェホフスキ(Janusz Wojciechowski)氏はガーディアンの取材に対し、大気汚染が原因で死亡した人の数は多く、「見過ごすことはできない」と述べた。 「大気汚染が欧州市民の健康に危機をもたらしている」とボイチェホフスキ氏は指摘。「欧州各地で毎日1000人以上が早死にし、1日の死亡者数全体の1%以上を占めている。これは自動車事故による死亡者数の10倍以上だ」と述べ、「EUは大気汚染を最優先課題として扱うべきだ」と続けた。「我々は、次の会計期間中にそのようになることを期待している」  ボイチェホフスキ氏によると、EUは現在、結束基金のうち34億ユーロ(約4400億円)を汚染度の高いバイオマスに使っている。これは、大気汚染対策予算の18億ユーロ(約2400億円)のほぼ2倍に当たる。  ボイチェホフスキ氏は、裁判所に提訴する前に、EUの予算配分を見直し、現在6~8年遅れている対策を加速させるべきだと忠告した。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。