“大復活”したコメダ、実力派なのに苦戦するドトール 喫茶チェーンで明暗が分かれた理由
コロナ禍の影響を大きく受けた喫茶業態だが、業績の回復という点で差が開いてきた。 2020年10月、「珈琲所コメダ珈琲店」を展開するコメダホールディングスの既存店売上高(FC向け卸売売上)は前年同月比101.6%と好調だった。緊急事態宣言が発令されたために最も落ち込んだ4月は53.1%だったので、V字回復している。 【画像で見る】大ヒットしたコメダの「コメ牛」 一方、ドトールコーヒーの10月の既存店売上高は79.6%で、4月の35.9%からはかなり回復してきているものの、前年並みに戻るにはかなり時間がかかりそうだ。 コメダが好調なのは、季節限定バーガー「コメ牛(こめぎゅう)」というヒット商品が出た効果もある。また、密になりにくい郊外型のロードサイドを中心とする立地も有利に働いている。 ドトールも「全粒粉サンド 大豆ミート ~和風トマトのソース~」という先進的かつ意欲的な新商品を出していて、効果も出ているものの、都心型または駅前立地が不利を招いた。 このままリモートワークが定着し、東京、大阪、名古屋などの都心部で働く人が減る傾向が続くとどうなるか。コメダのような郊外型喫茶がさらに台頭する一方、ドトールのような都心型喫茶の凋落(ちょうらく)は不可避な情勢である。
コメダにとっての追い風
コメダの2020年における既存店売上高(前年同月比)を1月から10月まで振り返ってみよう。1月:101.8%、2月:112.9%、3月:90.5%、4月:53.1%、5月:71.3%、6月:85.5%、7月:89.9%、8月:92.5%、9月:101.0%、10月:101.6%となっている。 1、2月は好調なスタートだったが、3月から影響が出始めて、4月に売り上げが半減。5月以降は急回復に向かって、ついに9月には前年同月の売り上げを上回り、10月もその勢いを維持している。 感染拡大の第3波に入った11、12月は売り上げを落とす可能性が高い。しかし、大きく崩れることなく、感染が静まれば再浮上する見込みだ。 コメダは全国に900店ほどあるうちの約7割が郊外型のロードサイド店舗。残りはショッピングセンターに入っていたり、駅前にあったりする。ログハウスをイメージした郊外型の店舗は、単にコーヒーを飲む場所ではなく、「くつろぎ」や「居心地の良さ」を重視しており、元から席と席の間もゆったりとしている。 従って、満席でも密になっているイメージはない。コロナ禍においても、顧客から安心して行ける飲食店と考えられている模様だ。カウンター席も、飛沫防止ガードで仕切っているので、安心感がある。 今の消費者は新型コロナの感染拡大を恐れ、電車やバスなどの公共交通での移動を極力避けており、マイカーで移動する傾向が強まっている。クルマで走れば、生活道路沿いや高速道路のインターチェンジ付近に、コメダのような郊外型喫茶店が出現するのだ。ドライブに疲れたら、ちょっと休んでいこうかと思わせるのも追い風になる。