不透明感増す立民と国民民主の選挙協力 基本政策不一致、衆院選でのしこりも
来夏の参院選に向けた立憲民主党と国民民主党の選挙協力の行方が見通せない。「政権交代」を掲げる立民は、国民民主などとの連携に意欲的だが、国民民主は選挙協力には憲法や外交・安全保障、エネルギーなど基本政策の一致が必要との立場にこだわる。加えて、国民民主内には、過去の国政選挙で立民に対抗馬をぶつけられたことへの怒りも渦巻く。 ■立民は意欲も国民民主は警戒 「臨時国会、そして来年の通常国会で野党連携する中で、もっと強い連携ができるという道筋につながっていくだろう」。立民の野田佳彦代表は29日、国会内で記者団の取材に応じ、参院選での他党との選挙協力に意欲を示した。 参院選の帰趨(きすう)は32ある改選1人区の勝敗が左右する。立民は改選1人区で野党候補を一本化し、与党と対峙(たいじ)することで戦いを制したい考えだ。共産党などとも選挙協力を進める意向だが、最優先したいのが国民民主。同じ民主党を源流とし、労働組合の中央組織「連合」から支援を受ける点でも共通する。 だが、国民民主は立民の接近を警戒している。 26日には立民の参院選対策の責任者の一人、小沢一郎衆院議員と国民民主の榛葉賀津也幹事長が会談。榛葉氏は29日の記者会見で、参院選に関する話題が出たと明らかにしつつ、「『改選1人区が問題だ』とおっしゃるので『そうですね』とお話しして、おいしいお茶を飲んで、帰った」と言葉を濁した。 ■度重なる煮え湯に不信感 そもそも両党は4年前の合流協議の際、立民側が「原発ゼロ」を譲らず、合意に至らなかった。国民民主側には基本政策での不一致が分断を招いたとの認識があるが、立民としては党内意見が割れる基本政策は「鬼門」であり、触れたくないのが本音だ。 さらに、国民民主には過去の国政選挙で立民に何度も煮え湯を飲まされたことへの恨みがある。小沢氏と会談した榛葉氏自身、令和元年の参院選では立民に対抗馬を立てられ、窮地に追い込まれた当事者だ。 立民は先の衆院選でも国民民主の公認候補がいる小選挙区に対抗馬を立てた。こうした立民の対応に、玉木雄一郎代表は5日の記者会見で、「政治的に殺されかかった人間がたくさんいる」と訴えた。
過去を水に流し、参院選での選挙協力を模索する立民に対し、国民民主幹部は「立民とは選挙協力に向けた議論にはなっていない。不信感は当然ある」と突き放した。(永原慎吾、飛松馨)