33年ぶりにアサド政権下の刑務所から解放 レバノン人男性、帰郷
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【12月10日 AFP】シリアのバッシャール・アサド政権下で当局に捕らわれ、33年ぶりに自由の身となったスハイル・ハマウィさん(61)が9日、レバノン北部の町チェッカの自宅に戻り、家族に心からの歓迎を受けた。 前日8日、シリアではアサド氏が国外脱出し、反政府勢力が首都ダマスカスを制圧。アサド政権下で悪名をはせた監獄制度から数千人の収容者を解放した。 その中の一人だったハマウィさんはAFPに「きょう、もう一度息ができるようになった気がする。この世で最も素晴らしいものは自由だ」と喜びの涙を浮かべながら話した。 レバノンでは1975年から90年まで続いた内戦の勃発直後に進駐したシリア軍の手によって、数千人が消息を絶ったとされる。安否を懸念する多数の家族にとって、ハマウィさんの解放は新たな希望となっている。 ハマウィさんは、悪名高いサイドナヤ刑務所を含む複数の刑務所に移送され、最終的にはシリア沿岸部ラタキア県の刑務所に収容されていたと話す。 支えになったのは、妻と息子への愛だという。 夫との再会を喜ぶ妻のホムシさんは、「33年前のある夜、彼ら(シリア当局)がわが家にやって来た。ドアをノックし、夫に話があると言った。それから11年間、夫の行方は分からなかった」と話した。 ハマウィさんの居場所を突き止めた後、10年以上を費やしてシリア各地の刑務所にいる夫の元を訪ね、いつか再び一緒に暮らせることを願っていたという。 ハマウィさんの双子の弟ニコラスさんはAFPに「兄は英雄以上の存在だ。獄中生活に耐え、きょう、33年間待ち望んでいた自由を手に入れた」と語った。 人権団体によると、レバノンでは内戦中、アサド氏の父、故ハフェズ・アサド前シリア大統領によって数千人の男女・子どもが行方不明になったとみられている。(c)AFPBB News