湘南ベルマーレ 取材カメラマンが狙う!Jリーグ2021注目選手(10)
2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。 【動画】湘南ベルマーレの新体制発表会
◎湘南ベルマーレ
2019年はJ1参入プレーオフで徳島ヴォルティスと1-1で引き分けてギリギリでのJ1残留を果たし、2020年の順位は18チーム中18位。4チームが降格となる今年のJ1において、湘南はどうしても降格候補に名を連ねてしまう。 降格の心配のない昨シーズンを新しい戦い方を習得するための実験に使ったわけでもなければ、勝負の年に向けて戦力の大きな上積みもない。キャプテンの齊藤未月がロシアに旅立っただけでなく、攻撃でサポーターの希望となっていた鈴木冬一や松田天馬、苦しいチームを支えていた金子大毅や坂圭祐までもいなくなった。 厳しい戦いが待ち受けていることは間違いないが、好材料がないわけではない。 昨年の湘南は、後半戦になってようやくチームが安定した。その原動力は田中聡、石原広教、舘幸希の3バックだった。 後半戦の初戦となる9月27日の川崎フロンターレ戦でこの3バックが初めて揃うと、そこから17試合は18失点、4勝6分7敗でシーズンを終えた。3人が先発で3バックを組んだ試合に限れば、7試合で5失点、3勝2分2敗で4つの完封を含んでいる。 年間34試合の成績は48失点で6勝9分19敗となっており、いかに後半戦に守備からチームが改善されたかがわかる。 守備で安定すれば、畑大雅と岡本拓也の両ウイングバックが躍動し、ウェリントンや石原直樹が1点をもぎ取って勝つ試合も出てくる。湘南にとってかつてない厳しいシーズンになることは間違いないが、希望は残っている。
■注目選手(1) MF:田中聡
登録上はミッドフィルダーになっているが、昨年は特に3バックの左として、高校生とは思えない堂々としたプレーを見せた。 守備では読みの鋭さと1vs1での勝負で相手を上回り、ビルドアップの場面では相手のプレッシャーを簡単にいなし、決して慌てないプレーでチームを落ち着かせた。縦へのパスやドリブルでの持ち上がりでチームを押し上げることも平然とやってのける。 そのプレースタイルだけでなく、湘南で高校生のうちから起用されたことや、ボランチでありながらセンターバックで活躍していることから、当然のように遠藤航の名前と並べられることが多くなった。本人の目標にも、偉大な先輩の名が挙がっている。しかし、現在の状況では目指し追い越す存在であっても、同じ年齢で比べれば田中は遠藤よりも高いレベルのプレーを見せている。今年の厳しい戦いの中で更なる飛躍を遂げ、日本代表で競演する日は近い。どこまで成長してしまうのか楽しみな存在だ。 湘南で、ではなく、Jリーグトップクラスの注目すべき選手であることは間違いない。