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<SSP杯>周囲の支えが推進力 交通事故乗り越えボートV 竹永萌夏(唐津西高)

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佐賀新聞

 結果で感謝の気持ちを伝えたい-。唐津西高ボート部主将でSSP杯女子シングルスカルに出場した竹永萌夏(18)が、交通事故の後遺症を乗り越え、3年間の区切りとなる大会を自己ベストの優勝で飾った。家族、恩師、チームメート…。支えてくれた人たちへ最高の形での“恩返し”となり、涙と笑顔があふれた。  高校1年生から競技を始めた。体作りに打ち込み、大会で結果を出していた矢先の冬。夕方、自主練習のため唐津市原の松浦川ボートハウスに自転車で向かっていた時、横断歩道で車にはねられた。  全身を強く打って頸椎をねんざし、自律神経も傷ついた。事故後、約5カ月間はボートどころか運動が全くできなかった。鍛えた筋力はみるみる落ち、体はやせ細った。関節は以前より硬くなり、雨の日は気分が悪くなるなど後遺症には今も悩まされ続ける。  学校からの帰り道はボートハウスそばを通らなければならない。練習に励む選手たちを横目に下校する日々。「とにかく悲しくて悔しかった」。涙を流した。  家でふさぎ込んでいた彼女を周囲が支えた。当時の顧問は「部活に顔を出せ」と声を掛け、2年生になると新入部員の指導も任せた。同級生や後輩、同校のOB、OGたちも積極的に声を掛け励ました。  家族も支えた。事故直後、母の恵子さん(38)は「もうボートはできないと思った」と明かす。それでもできることをしようと、体作りの食事メニューをネットで調べてサポートした。「人生で一番けんかした時期」と竹永。よくぶつかったが「すごい助けてもらった」と感謝する。  努力を重ね、2年秋の九州選抜大会で4位に入った。そして集大成となるはずだった今年。新型コロナウイルスの影響で県総体や国体ブロック予選が次々と中止となり「絶望を感じた」。そんな中でのSSP杯の開催決定。「言葉にできないくらいうれしかった」。  迎えたレース当日。予選は「思った以上のスピードとペースでこげた」と自身3番目の記録で1位。決勝は同組だった後輩を振り切った。4分35秒。交通事故前の自己ベストを10秒以上縮める記録で優勝が決まると、涙を流し、後輩たちと抱き合った。「いろいろな人に感謝したい。夢みたい」と喜びを爆発させた。レースを見守った恵子さんは「これで完全復活ができたのかな。お疲れさまと声を掛けてあげたい」とねぎらった。  ひとまず今大会で競技は一区切りとなる。「諦めずに努力すれば目標が達成できることが大会を通じて分かった」。今後は小さいころからの夢である警察官になるため、努力を続ける。SSP杯、そして3年間の経験を糧に、新たな目標に向かってオールをこぎ続ける。

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