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『キン肉マン』連載開始から41年、今こそ最高潮!? 不滅の“友情パワー”は神を超えるか

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リアルサウンド

 40代前後の男性なら、誰しもが知っている漫画『キン肉マン』。80年代に空前の“キン消しブーム”を巻き起こしたジャンプ黄金時代を支えた名作の1つであるが、実はこのキン肉マン、未だに連載が続いている。しかも、今がいちばん旬で面白いと感じられる、長期連載作品においては非常に稀なケースとなっているのだ。この8月より始まった最新シリーズでは実に9年ぶりに「週刊プレイボーイ」誌上への掲載も復活。連載開始から41年、”奇跡の逆転ファイター”を地でいく快進撃を見せる『キン肉マン』。なぜ「今がいちばん面白い」のか? その秘密を探ろう。 連載開始時はギャグ漫画だった『キン肉マン』 ※以下、ネタバレあり ■最新シリーズでもキャラクター愛は全開  まず最初に『キン肉マン』という作品のいちばんの財産は何か?といえば、それは「超人」というキャラクターであることに異論の余地はないだろう。これまで『キン肉マンII世』も含めて41年間で700人以上の超人が作品に出現した。それら超人のデザインの大半が、当時も今も変わらず”読者”が考え出したものであることはみなさんご存知のとおり。強豪超人からネタ超人まで、多種多様な超人を読者は愛し続け、ネタにし続け、かつてキン消しを用いて夢のバトルを妄想再現していたように、思いをはせ続けていたのだ。  最新シリーズでもそんな読者たちの、全ての超人の頂点に君臨する元神、ザ・マンをも超えるほどの超人への愛はゆでたまご両氏の元にもしっかりと届き、その想いをしっかりとフィードバックしながら、以前からは想像のつかない活躍、昔以上にカッコよく過去の超人たちを描くことに成功した。過去のキャラクターを活かしきれない作者も多い中で、これはある意味、驚異的なことだとも言えよう。  過去の連載当時、わずか3コマでやられて今なお伝説に残る強力チームの次鋒、レオパルドンも30年余りのときを経てついに登場! Web連載が更新された日曜深夜にはレオパルドンがTwitterのトレンドで1位になるなど異様な盛り上がりを見せたのも、散々いじられ、ネタにされるという扱いかたでもレオパルドンを愛し続けた読者に対して、ゆでたまご両氏が真摯に向き合って応えようとした結果の現れではないだろうか? いま37巻以降から単行本を読み返したら、かつてアナタが好きだった超人がカッコよくなって、強い相手と向かい合って活躍する姿が読めることは間違いないし(一部超人を除く)、他の超人の活躍も見たくなるだろう。 ■緻密に練られたストーリー  同じ作家が描いているとは思えないほど綿密に練られたストーリーと、新キャラも魅力的だ。キン肉マンといえば良くも悪くもそのときのノリと勢いで話を展開していたのが魅力だったが、今回は正義、悪魔、完璧三陣営の価値観のぶつかり合いから始まり、その話はやがて”あやつ”ことザ・マンと、彼が認めた完璧超人始祖と呼ばれる10人の完璧超人との関係性の話に至る。実は悪魔将軍(ゴールドマン)もシルバーマンもこの完璧超人始祖の一員だったという衝撃の事実が明らかになり、長き物語の決着は、ザ・マンと悪魔将軍の師弟対決で締め括られることになる。  作者も読者も認める作中最強の悪魔将軍を子供扱いするザ・マンのとてつもない強さと、そんな師匠を乗り越えるために師の教えを忠実に守り、全てをぶつけていく悪魔将軍の健気な姿。戦いを通じてお互いの心を通い合わせ、そしてついに数億年来の悲願である師匠越えを果たした悪魔将軍の勇姿と壮絶な戦いに涙した読者も多いだろう。この試合がキン肉マン史上、オールタイムベストバウトであることに疑いの余地はない。  その壮絶な戦いが終わったと思ったら、次に登場したのは大魔王サタンと、王位争奪編でフェニックスチーム、最後のミステリアスパートナーだったジ・オメガマンのまさかの双子の兄、アリステラ率いるオメガ・ケンタウリの六槍客。アリステラたちの襲撃に駆けつけるのはウルフマンをはじめとした過去超人オリンピックに参加していた正義超人たち。その後まさかの王位争奪編の運命の王子4人の参戦を経て、読者待望のキン肉マンソルジャー、キン肉アタルの登場。死闘の果てについにサタンが実体化したと思ったら、完璧始祖の生き残り、ジャスティスマンに完膚なきまでに叩きのめされ、サタン自体がまさかの前振り、かませ犬だったことが発覚。そして満を侍して登場するのは調和の神を筆頭とした天界の神々たち。これって本当にキン肉マンなの?という壮大で重厚なストーリーと、始祖に代表される新規超人たちの魅力溢れるキャラクター性は、41年前に始まったあのギャグ漫画の続きとは思えないほどよくできており、しかしあの頃と同じくらい読者の心を熱くし、あの頃と同じ笑顔をもたらしてくれる。  そんな作品に育ってしまったキン肉マンだが、それでも昔から変わらない、いわゆる「ゆで理論」と「トンデモ起源説」、辻褄の合わない矛盾展開は全開である。ツッコミどころはそれこそ無限にあるが、いちいちそれらを取り上げてディスっていても何も始まらない。関西人のボケだと思ってしっかりとツッコミを入れつつ笑い飛ばして読むのが、キン肉マンの正しい楽しみ方である。最近はちょっとしたアラでもすぐ突かれてSNSで糾弾される生きにくい世の中になっているが、ゆでたまごの嶋田先生のSNS上での読者とのやりとりを見てもらえれば、そこに理想の優しい世界があることに気づくだろう。  72巻でオメガ編が終了し。現在「週刊プレイボーイ」(とWEB)で連載が始まった新章は、先述の通り”下天”して超神となった天界の神々との戦いである。超人たちが敗れる=カピラリア光線で超人滅亡の、まさに種の存続を賭けた最大(そしておそらく)最後の戦いである。造物主である神が自らの手で人類を滅ぼしに来て、それに対して抵抗するというのは、字面だけを追えば『サイボーグ009』の完結編と全く同じストーリーであり、あの巨匠、石ノ森章太郎でさえあまりに構想が巨大になりすぎて最終的に描き切ることができなかった。神々との戦いにゆでたまごが挑むというのは、ともすれば無謀にも思えるだろう。  それでもゆでたまごなら、きっと『キン肉マン』として描き切れてしまうのだ。だって神々も神としてではなく超神として戦うわけだし、超神がどんな能力を使おうがやることは超人プロレスだ。神が姿を変えた超神が何人出てこようが、それはきっとボクらの誰かが考えた超神だし、もしかしたら子どもが考えた超神を、その子の親が考えた超人が倒すなんてことがあるかもしれない。  この41年間、続いてきたゆでたまご両氏と読者の“友情パワー”があれば、できないことなんて何もないはずだ。

関口裕一

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