現地紙も指揮官も評価!久保建英がヘタフェにもたらした「新たなストーリー」
久保建英が、今冬の移籍市場で移籍を決断した。 今季開幕前に1年レンタルでビジャレアルに加入した久保だが、ウナイ・エメリ監督の下で思うように出場機会を得られなかった。ビジャレアルへのレンタル期間を短縮して、今季終了時までのレンタル契約でヘタフェに移籍している。 【動画】ヘタフェの勝ち越しを呼んだ久保の強烈な左足シュート
■新天地のヘタフェとは
久保が移籍したヘタフェは、スペインの首都マドリードに拠点を置くクラブだ。 マドリードといえば、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリーというビッグクラブがある。ただ、2019-20シーズンにレガネス(現在柴崎岳が所属)が2部に降格し、いまやヘタフェはそこで「第3のクラブ」として名を馳せている。 ヘタフェの本拠地アルフォンソ・コリセウムは、マドリードの南部に位置している。マドリードの中心地から車で15分ほど、地下鉄と徒歩を組み合わせると50分程度で到着するところにあるスタジアムだ。 そんなヘタフェは、首都の中心部にアクセスが良く、一方でビッグシティの喧騒からは少し離れている。内陸にあり、海がないのが残念だが暮らしに不自由はないだろう。 また、レアル・マドリーの近くにあるチームなので、久保からすれば自身の保有権を有するクラブの人々と密に連絡を取ることが可能になる。ここは今回の移籍のポイントのひとつになったといわれている点だ。
久保のヘタフェ移籍に際しては、スペインメディアでも見解が分かれていた。『マルカ』紙が久保加入で布陣変更の可能性があると説けば、一方で『アス』紙では「久保にとって簡単な移籍ではない」と断ずる。一体どっちなのだ、と突っ込みを入れたくなった。 裏を返せば、それだけ久保に対する評価が分かれ始めていた。ビジャレアルでは、ヨーロッパリーグで試合に出て、リーガエスパニョーラではベンチ要員として扱われていた。当然、久保の中で期するものがあっただろう。 そして、それがデビュー戦の活躍につながった。リーガエスパニョーラ第18節エルチェ戦で、久保は躍動した。64分から出場して、久保のミドルシュートからハイメ・マタの決勝点が生まれた。3点目のPKを誘発するクロスを送り、チームメートから手厚い祝福を受けた。 「クボとは数日前から話をしてきた。難しい状況でマドリードに到着して、自宅で周囲から隔離されなければいけなかった。我々のチームについて、またピッチ上のどこで貢献してもらいたいか、そういった話をしていた。(デビュー戦の当日に)ホテルで試合に出た時の役割を彼に説明した。素晴らしいプレーをしてくれたと思う。2得点に絡む活躍だったんだ」 これはエルチェ戦後のホセ・ボルダラス監督の言葉だ。 守備を重視する指揮官だが、久保とカルレス・アレニャの加入で布陣変更を断行している。従来の【4-4-2】を捨て、【4-2-3-1】を選択。そのなかで、久保が右サイドで、アレニャがトップ下で好パフォーマンスを披露した。 「クボとアレニャの加入でヘタフェに新たなストーリー」(『マルカ』)、「到着直後のクボがヘタフェを活性化」(『エル・パイス』)、「クボ、希望を抱かせる25分」(『アス』)とスペインメディアはデビュー戦の久保を称賛している。 久保のヘタフェでの挑戦は始まったばかりだ。ビジャレアルで抱いた悔しい思いをバネに、彼は再び飛躍を目指す。忘れそうになるが、まだ19歳。開かれたキャリアが、そこにはある。
森田泰史