豪雨災害は必ず来る! 首都水没から命を守れ
「地震噴火はいつ来るかわからない。でも豪雨災害は2021年も必ず来る」気象庁の予報官は、2021年を迎えるにあたり気を引き締め直した。
豪雨災害の発生確率は「1年以内にほぼ100%」
・2020年「球磨川氾濫」 ・2019年「東日本台風」 ・2018年「西日本豪雨」 ・2017年「九州北部豪雨」 ・2015年「常総大水害」 ・2014年「広島土砂災害」 毎年のように全国のどこかで豪雨災害に襲われている。近年、地球温暖化の影響を受け、雨のもとになる大気中の水蒸気量が増加。気象庁の観測によると、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降る頻度は、直近10年(2010~2019年)で実に1.4倍に増えている。豪雨災害のリスクは、データ上でも確かに増加しているのだ。 政府の地震調査委員会は、南海トラフ巨大地震の発生確率を「今後30年以内に70%から80%」、首都直下地震の発生確率を「今後30年以内に70%」と見積もっているが、豪雨災害が起きる確率は、「今後1年以内にほぼ100%」と言えるだろう。 これが人口密集地で発生すると、被害はさらに深刻になる。首都圏を流れる荒川が氾濫決壊した場合が、その典型だ。
荒川氾濫で最悪の場合2000人死亡
国土交通省荒川下流河川事務所などによると、もし荒川が氾濫・決壊した場合には、東京・足立区の北千住駅などに濁流が押し寄せ、川の水は地下鉄の線路を通って都心にも到達。銀座の歌舞伎座や東京駅も浸水すると予想される。最悪の場合、およそ2000人が命を落とすと想定されている。
現実味を帯びる「荒川氾濫」
荒川の堤防は、足立区と葛飾区を結ぶ京成本線鉄橋の部分だけ約3m堤防が低くなっていて、2019年10月に東日本台風(台風19号)が上陸した際には、氾濫寸前まで水位が上昇。
偶然、水位上昇のピークと東京湾の満潮のタイミングが重ならなかった幸運もあり、氾濫の危機はギリギリで回避されたものの大規模な水害発生の一歩手前だった。
現実味がない「広域避難」
墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区はまとめて江東5区と呼ばれる。江東5区は「ゼロメートル地帯」を多く抱えるため、荒川や江戸川が氾濫するとその人口の9割にあたる実に250万人が浸水被害を受ける恐れがあり、避難する必要に迫られる。 しかし、これだけの人が避難できる場所を、それぞれの自治体毎に確保するのは極めて難しい。必要になるのが区市町や都県の枠を越え、自分が住む自治体以外の場所に避難する「広域避難」の考え方だ。