YouTube広告活用でEC売上が2.58倍! 大丸・松坂屋が取り組んだマーケティング施策
一方、大丸下関店(山口県)では、店頭集客でYouTubeを活用した。同店は下関駅に直結していてアクセス性が高いが、近年は競合となる大型商業施設が郊外のロードサイドへ多数進出。そうしたロードサイド店に自動車で出かけるニューファミリー層が増加していた。
そこで、ニューファミリー層の取り込みを図るべく、集客施策と車で移動するニーズを掛け合わせた「シーモール下関 大誕生祭」を開催。具体的には、人気催事「北海道展」の開催、抽選会による買上促進、さらには駐車場を無料にしたのだという。その上で、足が遠のいていた客層の集客を最大化するためには宣伝メディアの組み替えが必要だと考え、YouTube広告を選択した。 その際、テレビCMをそのまま転用。西本氏は「テレビCM映像をYouTubeに転用することについては議論があるだろうが、製作費がないからYouTube広告を諦めるよりはいいと考え、そのまま配信した」と明かす。
こちらも広告費は50万円だったが、のべ20万人の顧客にリーチ。視聴率は30%を超えた。また、推計値ではあるが、動画視聴によって来店した客数は約6,000人に到達し、ターゲットとしていた「郊外に住むニューファミリー」の獲得ができた。店頭スタッフからは「普段見られないニューファミリー世代が見られた」「館内滞在時間が延長した」などの声が寄せられたという。
■ [事例(3)] 正月おせちECではさらにYouTube広告を強化 正月のおせちは百貨店にとって大きな市場である。大丸松坂屋百貨店では、店頭受注はもちろん、EC受注にも力を入れており、2019年からYouTube広告を利用。また京都店・下関店の例とは異なり、おせちは全国で販売商品が統一されているため、本社が販促の主体を担っている。
西本氏によれば、おせちはコロナ禍で需要が拡大している。潜在顧客がまさに増えているタイミングであり、そうした客をいかに掴むかはマーケターの腕の見せどころだ。