Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

【舛添要一が語る世界と日本】 専門家会議と感染症学会が対策を誤らせた

配信

ニュースソクラ

感染症の専門家を信じてよいのか

 日本の感染症の専門家、とりわけ専門家会議を信用してよいのだろうか。私は大いに疑問である。  今や緊急事態宣言を発令しなければならないような感染拡大になっているのは、なぜなのか。専門家のミスが指摘されなければならない。  日本では新型コロナウイルスの感染拡大が続き、ゴールデンウィークも「stay home」週間となり、外出や営業の自粛が続いている。その効果が出るのは、2週間後だが、果たして5月6日に緊急事態宣言の解除ができるのであろうか。  一方、台湾では、14日連続で新たな感染者がゼロになっている。累計で感染者が429人、死亡が6人で、281人が隔離を解除されている。素晴らしい成果である。マスクも国民全員に行き渡るような仕組みができあがっている。  韓国も、新規感染者が一桁と激減し、ソウル市内は人で溢れている。これは、世界に先駆けてドライブスルーのPCR検査を導入するなどして、徹底的に感染実態を把握したおかげである。  ところが、日本は今ひどい状況にある。それは、PCR検査をほとんど行わなかったことのツケである。また、院内感染対策も不十分だったため、今や院内感染が、19都道府県54施設に広がり、783人となっている。医師や看護士用の個人防護具が不足している。  軽症者で自宅待機中の患者が死亡する例も出てきており、軽症者用に公共施設やホテルを準備するなど、医療体制整備の遅れもまた多くの問題を生んでいる。いずれも、政府の対応の遅れ以外のなにものでもない。  4月23日、女優の岡江久美子さんが新型肺炎で死去した。政府の対策の二つの遅れがなければ、あるいは命が助かったかもしれない。  第一は先述したPCR検査の遅れである。これまで、専門家会議は発熱後4日間は自宅で待てと指示していたが、個人によって容態は異なるのであり、迅速にPCR検査をして陽性であることが確認されていれば、処置が遅れなかったかもしれないのである。  第二は、アビガンの早期承認を躊躇していることである。石田純一さんも、コロナに感染し、病院に運び込まれたときには厳しい状況であったが、アビガンの投与で回復したという。また、福井県初のコロナ感染者である日華化学の江守社長も2週間アビガンを服用して元気になっている。  ニューヨーク州の重症患者を対象にした研究では、人工呼吸器を着けた患者の88.1%が死亡したという。人工呼吸器を装着する段階に至らないうちにアビガンなどの抗ウイルス薬を投与すべきなのである。  つまり、早期投与こそが救命につながるのである。ところが、日本感染症学会は、呼吸不全の出現を投与の必要条件としていたのである。厚労省は、3月17日に都道府県に対して発出した「新型コロナウイルス感染症、診療の手引き」の中で、これを批判し、早期投与の必要性を強調した。  これを見ても、感染症の専門家が万能で、すべて正しいわけではないことがよくわかる。結局、感染症学会は、臨床を重ねる間に、厚労省見解の正しさを認めざるをえなくなり、4月20日にはそれを認めている。  ところが、インフルエンザ治療薬として承認されたアビガンは、新型コロナ治療薬としては治験が足りないという理由で、臨床実験という形でしか投与できない。厚労省は何をもたついているのか。  アビガンは、すでに石田、江守両氏のように400例近くに使われており、成果を上げている。催奇形性という副作用があり、妊婦などには使えないが、高齢者には適用しても良いというのが、第一線の多くの医師の見解である。  政府のコロナ対策を立案する専門家会議は、クラスター潰しに専念する余り、市中感染の拡大を阻止できなかった。それが今の惨状の発端であり、しかもPCR検査を徹底して現状を正確に把握する努力を展開していない。専門家が必ずしも正しい対応をとれるとは限らないのである。  専門家会議とは異なるセカンドオピニオンを提示するチームが必要である。

舛添 要一(国際政治学者)

【関連記事】