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日野町事件の裁判官と10日間の法廷外の闘い 里見繁

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創

悪い裁判官に当たり続けた事件

〔はじめに〕1984年に滋賀県の日野町で起きた強盗殺人事件、いわゆる日野町事件の第二次再審請求の抗告審(大阪高裁)をめぐって、2020年6月、大きな出来事があった。東京ではあまり大きく報道されておらず、日野町事件そのものについても知らない人も多いのだが、元民放の報道記者で、関西大学教授である今もこの事件を追い続けている里見さんが、この6月に起きた10日間にわたる経緯についてレポートした。  里見さんも運営委員を務める「再審法改正をめざす市民の会」では、毎月、冤罪事件や再審について考えるウェブセミナーを開催しているが、7月18日(土)にも「大崎事件の真実」というセミナーが開催される。参加希望者は「再審法改正をめざす市民の会」のホームページからアクセスしてほしい。(月刊『創』編集部) 「いい裁判官に当たらないと、裁判は勝てない」  冤罪を闘っている人は誰もがそう言う。「いい」とは自分にとって都合がいい、という意味ではない。公正な目を持った人ということだが、裁判官にはそうでない人もいる、という意味がこの言葉には含まれている。但し、弁護人はこういう言い方を嫌う。それは、そう思っていないからではなくて、当たり前すぎて、口に出しても空しいからである。一方、こんなあからさまな言い方ではなくても、「公平な裁判官」によって審理される権利は、誰にもあるはずだ。刑事訴訟法21条は、「裁判官が職務の執行から除斥されるべきとき、又は不公平な裁判をする虞があるときは、検察官又は被告人は、これを忌避することができる」としている。「除斥されるべきとき」については、この前の20条で、具体的な条件が列挙されているが、「不公平な裁判をする虞」については、これ以上は示されていない。  今回、まさしく、この「不公平な裁判をする虞」についての具体的な事例が発生した。それを以下で紹介したい。  日野町事件は、一言で表せば、悪い裁判官に当たり続けた事件、と言える。確定審まで、そして再審請求審においても、いかにひどい審理が続いたことか。それについては後述するが、とにかく2018年7月に再審開始決定が出て、やっと暗いトンネルから抜け出したように見えた。ところが、である。この冤罪事件は、こと裁判官に関しては、とことん不運がついて回る。

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