それでも森氏の首に鈴をつけられない自民党の醜態
■ 中身がない挨拶で女性差別発言 森喜朗氏と言えば、受け狙いで失言を繰り返す政治家として有名だった。短い首相在任中も何度も失言によって批判された。 2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、森氏は会合の最後に挨拶した。出席者が約40分間聞かされたのは、あきれるくらい中身のない話だった。 その内容はまず、「こないだまで悪口は山下さん(JOC会長)ばかりだったんだけど、最近は私か菅さん(首相)とどっちが多いかというぐらい悪者になってますね」「結局オリンピックをさせたくないんですよ」などマスコミへの恨み節。 次は、「私は体協もラグビー協会も本当は、前代未聞のラグビーワールドカップをやったんですから、皆さんがもうちょっと残ってやったらどうかと言ってくれるかなと思っていたが、誰もそうは言ってくれなかった。それでしゃくに障ったんで、九州にいる森(重隆)さんを会長にしたんです」というラグビー協会への恨み節。 そして問題の発言である。 「女性理事を4割というのは、女性がたくさん入っている理事会、理事会は時間がかかります。これもうちの恥を言います。ラグビー協会は倍の時間がかかる。女性がいま5人か。女性は競争意識が強い。誰か1人が手を挙げると、自分もやらなきゃいけないと思うんでしょうね、それでみんな発言されるんです。結局、女性はそういう、あまり私が言うと、これはまた悪口を言ったと書かれるが、必ずしも数で増やす場合は、時間も規制しないとなかなか終わらないと困る」 「私どもの組織委にも、女性は何人いますか。7人くらいおられるが、みんなわきまえておられる」 こんな話を40分間も聞かされた評議委員は、腹が立たないのだろうか。女性のところでは笑い声も上がったというのだから、評議委員会にもろくでもない人間が入っているようだ。
■ 田村淳さんの聖火ランナー辞退は当然 失言はこれだけではない。2月2日に自民党本部で行われたスポーツ立国調査会・オリパラ東京大会実施本部の合同役員幹部会に出席した際、聖火ランナーについて「人気のあるタレントはあまり人が集まらないところを走ったらいいじゃないか。田んぼで走ったらいい」などと発言したと言うのだ。お粗末としか言いようがない。 この発言を受け、TBS「グッとラック」のコメンテーターを務めているお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳氏が、決まっていた聖火ランナーを辞退すると番組内で表明した。私は思わず「偉い!」と声を上げた。 同番組の司会者立川志らく氏も、「(森会長は)自分で東京五輪は無理だって言ってるんですよ。だって、聖火ランナーで人気者が走ったら密になる、これがダメなら、無観客でやるって言ったって、本番のマラソンはいくら無観客にしたって人が集まってくる。マラソンも田んぼで走れって言うのか」と指摘。「言ってることが矛盾だらけ。タレントを小バカにして。お願いしておいて、いくら何でも失礼ですよね」と厳しく批判した。 ■ なかなか立派だった若い記者たち 森氏が釈明の記者会見をやった際の記者の質問もなかなか鋭いものだった。 女性記者が森氏に対して、「(会長職を)辞任をしなければならないと考えたことはあったか」と聞くと、森氏は「ちょっと僕はね、そのマスクをされているとよく聞き取れないので」とマスクを外すよう要求、その後も森氏は別の記者に対してもマスク外しを求めたそうである。このコロナ禍でマスクを外せと要求すること自体、常識外れという他ない。