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老舗企業の倒産など、2019年度は過去最多の579件が発生 新型コロナによる影響も及ぶ

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帝国データバンク

 日本は世界有数の“長寿企業大国”として知られ、業歴100年以上の老舗企業は全国で3万社を超える。長年の経験に裏打ちされた有形・無形の教訓や経営資源を蓄積している老舗企業の存在は、経済活動の礎となるのみならず、雇用確保の面から極めて重要であると言われている。  他方、近年は少子高齢化など事業環境の変化が一層スピードを増しているほか、国内市場の長期低迷も続き、長い業歴を有するだけでは生き残りが難しくなっている。また、昨年10月に実施された消費税の増税、さらには今年に入り急速に感染が拡大した新型コロナウイルスの影響で、100年に1度と言われたリーマン・ショックをも上回る大規模な経済ショックに見舞われている。こうした事業環境のなか、先行きの悲観などから自助努力での経営再建を断念する老舗企業が相次いで発生しており、その動向が注目されている。

 老舗企業の倒産・休廃業・解散件数をみると、2019年度は579件(前年度比24.5%増)となった。前年度から大幅な増加となり、件数・増加率ともに過去最多を更新した。また、15年度以降5年連続の増加となり、05~08年度の4年連続を上回り最長を更新した。19年度の倒産・休廃業・解散の件数全体における老舗企業の割合は1.82%を占め、前年度を0.34ポイント上回り過去最高を更新した。近年、倒産などで市場を退出する老舗企業が増加傾向にあり、19年度はこうした傾向が特に目立った。  このうち、倒産は19年度で105件(前年度比4.0%増)となり、過去3番目の高水準。休廃業・解散は474件(前年度比30.2%増)で2年ぶりに増加し過去最多、増加率も過去最高。

 業種大分類別では、最も多かったのは「小売」(209件)で過去最多となった。以下、「卸売」(130件)、「製造」(114件)の順で続いた。このうち、製造は過去最多となったほか、「不動産」(30件)も過去最多を更新した。  業種細分類別にみると、最も多かったのは「酒小売」の26件となった。酒小売が全業種中最多となるのは、2016年度(19件)以来3年ぶり。件数は08・09年度(21件)を上回り過去最多を更新した。酒小売では、1998年以降段階的な規制緩和により販売が原則自由化された。そのため、利便性が高く安価に販売するディスカウントストアや量販店、スーパーなどが相次ぎ参入し、中小の酒小売店にとって大きな脅威となっている。このほか経営者の高齢化、卸売併営の事業者などでは飲食店の倒産などによる取引先の喪失も相まって、先行きの見通し難から事業継続を諦めるケースが少なくない。  以下、「貸事務所」(20件)、「呉服・服地小売」(18件)、「婦人服等小売」(17件)、食品スーパーなど「食料品小売」(14件)などが続いた。このうち、貸事務所(前年度:6件)と食料品小売(同:5件)は前年度を大きく上回り、過去最多を更新。貸事務所では、もともと小売などを本業としていた事業者が、社有不動産などを活用してテナントビル事業などに転業し、その後廃業等を選択したケースが多い。食料品小売では、大手スーパーやディスカウントストアなどが近隣地域に進出したことや、インターネット通販との競争激化に加え、19年10月に実施された消費増税に伴う設備投資の大きさや、先行きの不透明感から事業を畳んだケースもみられる。このほか、「酒類卸」(11件)や「印刷業」(10件)、「書店」(9件)などでは、いずれも件数が過去最高となった。  2000~19年度合計では、「ホテル・旅館」が283件でトップとなった。以下、「酒小売」(263件)、「呉服・服地小売」(251件)、「婦人服等小売」(224件)と続いた。このほか、合計で上位となったのは「酒類卸」(148件)など卸売業、「食料品小売」「米穀類小売」(118件)などの小売業が目立つ。また、書籍や雑誌を販売する「書店」(73件)が前年度から大きく伸長した。